水質関係有害物質発生施設とは? 公害防止管理者の選任基準と共に解説
2018/10/05
公害防止管理者の資格を取るために勉強しているが、水質関係有害物質発生施設について詳しく知りたい、と思っている人はいませんか? 公害防止管理者は資格区分がたくさんあるため、選任が義務づけられている職場の基準などが分かりくいという人もいるでしょう。
そこで今回は、水質関係有害物質発生施設の定義や、公害防止管理者の選任基準について説明します。
この記事を読めば、公害防止管理者の資格取得方法もよく分かります。公害防止管理者の資格取得を目指している人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.水質関係有害物質発生施設の基礎知識
はじめに、水質関係有害物質発生施設の定義などについて解説します。
1-1.水質関係有害物質発生施設とはどのような施設?
水質関係有害物質発生施設とは、水質汚濁防止法に規定する有害物質を汚水として発生する施設(工場)です。水質汚濁防止法に定められた有害物質とは、カドミウムやその化合物など28種類が指定されています。詳しい物質名については環境省の該当ページを確認してください。
1-2.水質関係有害物質発生施設の種類
水質関係有害物質発生施設は、以下のような4種類に分類されます
- 水質汚濁防止法に定められている汚染物質を含む汚水の排出水量が、1日1万㎥以上の工場
- 水質汚濁防止法に定められている汚染物質を含む汚水の排出水量が、1日1万㎥未満の工場
- 水質汚濁防止法に定められている汚染物質以外の生活環境を悪化させる可能性がある物質を含んだ汚水の排出水量が、1日1万㎥以上の工場
- 水質汚濁防止法に定められている汚染物質以外の生活環境を悪化させる可能性がある物質を含んだ汚水の排出水量が、1日1万㎥未満の工場
3と4に該当する物質は、環境省が定めている56種類の物質が該当しますが、自治体の条例によって独自の物質が定められていることもあるため、必ず確認しましょう。また、日によって排出水量が異なる場合は、平均値を求めます。
2.水質関係有害物質発生施設と公害防止管理者について
この項では、水質関係有害物質発生施設における公害防止管理者の選任義務について解説します。
2-1.公害防止管理者とはどのような資格?
公害防止管理者とは、公害を発生させる可能性のある工場や施設などに常駐し、公害発生を未然に防止するために、大気・水・振動・騒音などの検査を行える国家資格です。水質関係有害物質発生施設は、公害防止組織の設置や公害防止管理者の選任が義務づけられている、特定工場に該当します。
2-2.水質関係有害物質発生施設で選任が受けられる公害防止管理者とは?
公害防止管理者は、大気関係・水質関係・騒音・振動関係・ダイオキシン関係の資格区分があります。水質関係有害物質発生施設で公害防止管理者として業務を行うことができるのは、水質関係の資格保持者です。なお、水質関係の公害防止管理者の中にも、第1種~第4種までの資格区分があります。1-2で水質関係有害物質発生施設は、4種類に分類されているとご紹介しました。1の施設は、第1種水質関係公害防止管理者が業務を行うことができます。以下も同様に、2は第2種、3は第3種が業務を行うことが可能です。
3.水質関係の公害防止管理者の資格を取得する方法
前述したように、水質関係公害防止管理者の資格を取得すれば、水質関係有害物質発生施設で公害防止管理者として選任を受けることができます。昇給や昇進だけでなく、転職にも役立つことでしょう。この項では、水質関係公害防止管理者の資格を取得する方法を紹介します。
3-1.公害防止管理者を取得する方法
公害防止管理者の資格を取得するには、2つの方法があります。1つは、一般社団法人産業環境管理協会が主催する試験を受けて合格する方法です。受験資格は定められていないので、性別・年齢・学歴・職業に関係なく受験ができます。もう1つは、協会が主催する認定講習を受ける方法です。こちらは、環境計量士・第1種・第2種電気主任技術者など特定の技術資格を保有しているか、一定期間の実務経験がなければ、受講することはできません。受講資格について詳しいことは、協会のサイトを確認してください。
3-2.試験科目について
国家試験の試験科目は、以下のとおりです。
- 水質概論
- 汚水処理特論
- 水質有害物質特論(第1種・第2種のみ)
- 大規模水質特論(第1種・第3種のみ)
- 公害総論
科目によっては、特定の資格区分だけのものもあります。なお、科目合格が認められており、60%以上得点できればその科目は合格です。3年以内にすべての科目の合格できれば、総合合格となります。
3-3.認定講習の申し込み方法
認定講習は、毎年30回程度実施されます。産業環境管理協会のサイトから、申込手順の冊子や申込書のひな型がダウンロードできるので、まずは確認してください。自分が認定講習を受講できる資格を満たしている場合、申込書に必要事項を記入し、協会宛に仮申し込みを行います。審査後に受講が認められれば、本申し込みを行ってください。講習日程は資格区分によって異なり2~4日となり、講習料金は、22,500~37,500円です。講習は、全国の主要都市で行われるので、遠方に住んでいる場合は宿泊して参加する必要があります。なお、認定講習の定員に達しない場合、講習が中止されることもあるので承知しておきましょう。
3-4.試験の申し込み方法
公害防止管理者の試験は、毎年10月に行われます。受験申し込みは、産業環境管理協会からの電子申請が便利です。受験料は第1種・第3種が8,700円、第2種・第4種が8,200円になります。なお、試験が免除される科目があっても電子申請が可能です。協会のサイトから、申し込みの手順を説明した冊子がダウンロードできるので、まずはそれをよく読んでから申し込みを行ってください。なお、受験会場は全国の主要都市です。試験会場から遠い場合は、宿泊準備をして試験にのぞみましょう。
3-5.勉強方法のコツ
公害防止管理者の試験は、一般社団法人産業環境管理協会が受験対策講座を開催し、参考書なども販売しているので、ぜひ利用してみましょう。受験対策講座が受講できない人のために、通信講座も開催されています。試験を主催しているところの講座なので、独学で勉強するよりも、効率的に試験に必要な知識を身につけることが可能です。
4.水質関係有害物質発生施設に関するよくある質問
この項では、水質関係有害物質発生施設に関するよくある質問を紹介します。
Q.水質関係有害物質発生施設の施設区分は、従業員の人数などは関係ありませんか?
A.はい。汚水の発生量によって施設の区分が決まるので、従業員の人数は関係ありません。
Q.水質関係有害物質発生施設を建設する際は、何らかの届出は必要ですか?
A.はい。自治体ごとに届出が必要な書類があります。まずは自治体の担当課に連絡を取るか、自治体のホームページを確認してください。
Q.水質関係有害物質発生施設で公害防止管理者を選任しない場合、罰則はありますか?
A.水質汚濁防止法違反で、罰金刑が科せられるほか、社会的な信頼も失うでしょう。
Q.水質関係有害物質発生施設で、公害防止管理者はどのような職務を行いますか?
A.定期的な水質検査のほか、必要ならば従業員の教育なども行うでしょう。
Q.認定講習を受けられる技術資格を有していれば、今まで水質関係有害物質発生施設の勤務経験がなくても受講はできますか?
A.はい。可能です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、水質関係有害物質発生施設について解説しました。たとえ有害物質を完璧に工場内から外に出さない対策をしていても、汚水の中に有害物質が含まれている可能性があれば、水質関係有害物質発生施設に認定されます。公害防止管理者の選任が必要なので、覚えておきましょう。
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