残留塩素濃度の基準や測定方法を知りたい! 職務に必要な資格は?

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア

残留塩素濃度とは、水道水の中に残っている塩素のことです。塩素には強い殺菌作用があり、ほぼすべての細菌に効果があります。そのため、日本では水道法という法律に沿って水道水に消毒用塩素を添加しているのです。残留塩素濃度が多すぎれば人体に有害ですし、少なければ短時間で細菌が繁殖して食中毒の原因となります。

今回は、残留塩素濃度の基準や測定方法を解説しましょう。

  1. 残留塩素に対する基礎知識
  2. 残留塩素濃度の測定について
  3. 水質検査が職務に含まれる資格について
  4. 残留塩素濃度に対するよくある質問

この記事を読めば、施設の水道を安全かつ衛生的に使用し続けるために必要なことも、よくわかりますよ。設備管理の仕事に就いている方も、ぜひ読んでみてください。


1.残留塩素に対する基礎知識

はじめに、水道水に塩素を投入する理由や残留塩素の基準などを解説します。なぜ、残留塩素基準が定められているのでしょうか?

1-1.水道水に塩素を入れる理由

私たちが毎日使用している飲用水は、川や池・ダムなどの水を使用しています。水の中にはさまざまな菌が繁殖しており、そのまま飲むと細菌感染を起こす可能性があり、危険です。そのため、消毒をする必要があります。皆様もよく知っている消毒方法に煮沸がありますが、大量の水を煮沸するわけにはいきませんし、熱に耐性を持つ菌も多いのです。塩素ならば添加も簡単でいろいろな雑菌に効果があります。そのため、日本では水道法で飲用水には塩素の添加が義務づけられているのです。ちなみに、添加する塩素の種類は、次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素酸カルシウム・液化塩素の3種類が認められています。

1-2.残留塩素とは?

残留塩素とは、給水栓(蛇口)から出てきた直後の水に含まれている塩素のことです。塩素はもともと気体ですので、水道水をくみ上げて放置していれば、残留塩素濃度は下がっていきます。すると、細菌がより繁殖しやすくなりますので、プールでは定期的に塩素を追加して消毒効果を保っているのです。

1-3.残留塩素のメリット・デメリット

残留塩素が少なすぎれば、前述のように消毒効果が落ちて水道水から細菌感染が発生する可能性があります。その一方で、残留塩素が多すぎれば トリハロメタン(消毒副生生物)の発生・喘息の誘発・カルキ臭の発生などが起こるのです。そのため、定期的に残留塩素濃度を測定し、水道法で定められた基準値内に収まっているのかを確認する必要があります。

1-4.残留塩素の基準値とは?

日本では水道法によって、残留塩素を1ppm以下、0.1ppm以上と定めています。なお、この基準は給水栓から出てきた水の基準値であり、プールなどはまた別の基準値が定められていますので、注意しましょう。

残留塩素は水道水を清潔に保つために必要なんですね。
はい。ただし、塩素が多く残りすぎても問題があるので、定期的な検査を行う必要があります。

2.残留塩素濃度の測定について

この項では、残留塩素濃度の測定について解説します。どのような名目で行われるのでしょうか?

2-1.残留塩素濃度の測定が必要な場所

残留塩素濃度は、基本的に水道局が行います。水道局が水源や浄水場・配水池・水道栓(蛇口)で定期的に水質検査を行い、残留塩素濃度も測定しているのです。これ以外では、自家用の水道を使う居住者が100名以上いる場合や、1日に人が生活用水として使用する水量が20m3を超える場合は、定期的な水質検査が必要になります。
また、貯水槽がある施設も規模によっては検査が必要です。その基準は自治体により異なります。

2-2.測定方法

残留塩素濃度を測定する場合は、比色法を使うのが一般的です。これはDPD試薬と検水を比色管に入れて、色の変化を見ます。高濃度残留塩素測定器などの商品名で、検査キット一式が販売されているのです。

2-3.測定しないとどうなるのか?

残留塩素濃度を含む水質検査は、法律で義務付けられています。ですから、故意に水質検査を行わなかったり検査結果をごまかしているような場合は、罰金刑などの刑罰対象になるでしょう。また、不特定多数が利用する施設で故意に水質検査を行わなかったりした場合は、施設の使用が禁止されることもあります。

検査は基本的に水道局が行うんですね。
はい。ですから一般家庭で行う必要はありません。

3.水質検査が職務に含まれる資格について

水質検査を職務として行う資格には、

  • 水道に関する資格:浄化槽管理士
  • 環境に関する資格:公害防止管理者・技術士(水道・環境・衛生工学)
  • 建物の維持管理に関する資格:建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)

などがあります。この中でも、建築物環境衛生管理技術者は数か月~半年おきに1度、水質検査を専門の業者などに依頼し、結果を管理することが仕事です。
建築物環境衛生管理技術者は、大規模商業施設やオフィスビル・地下街などの不特定多数が利用する、一定規模以上の床面積を持つ建物に選任が義務づけられているもので、資格を取得すればビル管理の統括者として責任ある立場を任されることでしょう。ビル管理の仕事を一生の仕事にしたい場合は、ぜひ取得しておきたい資格です。
建築物環境衛生管理技術者の資格取得方法やもっと詳しい仕事内容については、こちらの記事に詳しく記載されているので、ぜひ併せて読んでみいてください。

独自に水質検査が必要な施設もあるんですね。
はい。不特定多数が利用する施設や工場など、公害が発生する可能性がある施設は、資格を持った人が監督して検査を行うことが法律で義務づけられています。

4.残留塩素濃度に対するよくある質問

Q.残留塩素濃度は、給水栓から出た水をすぐに計測するのですか?
A.はい。基本的にはすぐに計測します。時間がたった水では、正確な結果が出ません。

Q.残留塩素濃度が高すぎたり低すぎたりした場合は、どうしたらよいでしょうか?
A.すぐに詳しい検査を行い、残留塩素濃度が高かったり低かったりする原因を突き止める必要があります。必要ならば水道局に連絡しましょう。

Q.残留塩素濃度が低いほどきれいな水なのではありませんか?
A.確かにきれいですが、その分雑菌も繁殖しやすい水です。残留塩素は水を沸騰させるだけで簡単に0に近くなります。湯冷ましは早めに飲みましょう。

Q.残留塩素が原因で食中毒などになる可能性はありますか?
A.残留塩素が低すぎる水をそのまま多量に飲んだ場合は、感染症などを発症する危険があるでしょう。

Q.水道管のせいで残留塩素濃度が下がったり上がったりすることはありますか?
A.基本的にありません。

おわりに

今回は水道水に含まれる残留塩素濃度について解説しました。残留塩素というと体に有害な物質のように思われますが、まったく残っていないと細菌が繁殖しやすくなり、かえって危険です。大規模な食中毒の発生を防ぐためにも、定期的な水質検査はとても大切になります。

無料登録でキャリアアップへの一歩を!

技術系資格キャリアアップ

現在よりも好条件な職場に転職したい方や、未経験から新しい職種に挑戦したい方におすすめなのが転職エージェントサービスです。
中でも『マイナビエージェント』は求人数が業界トップクラスで、転職活動全般をサポートするサービスも充実!
非公開求人を豊富に保有しており、一般公開されない優良求人を逃すことなくチェックできます。 すぐに転職予定がない方も相談に乗ってもらえるため、早めに登録しておくことで、よりマッチ度の高い求人を紹介してもらいやすくなります。