陸上特殊無線技士の資格試験を受けよう!難易度や効率的な勉強法は?
2016/11/25
「陸上特殊無線技士の資格試験を受けたい」という人に朗報です。無線従事者の一種であり、国家資格でもあるこの資格は、試験と養成課程により取得が可能になります。学生から社会人まで幅広い受験者がおり、転職にも有利になると言われている、比較的人気の高い資格です。特に、通信分野の仕事に就きたいと考えているなら、取得しておくべきでしょう。しかし、気になるのは難易度や合格率ですよね。「仕事を続けながらでも取得できるのか?」「合格するためにはたくさん勉強が必要なのでは?」と不安な人も多いのではないでしょうか。
この記事では、陸上特殊無線技士の資格試験について、難易度や勉強法などをまとめてご紹介します。
- 陸上特殊無線技士とは?
- 陸上特殊無線技士の種類
- 難易度はどのくらい?陸上特殊無線技士の資格試験
- 陸上特殊無線技士の資格試験情報
- 陸上特殊無線技士の講習と更新について
- 陸上特殊無線技士取得に向けた勉強法
- 陸上特殊無線技士試験に関するよくある質問
この記事を読むことで、陸上特殊無線技士のすべてが分かります。資格試験に合格するために、ぜひ参考にしてみてください。
1.陸上特殊無線技士とは?
まずは、陸上特殊無線技士についてご紹介します。その定義や職務などを解説しましょう。
1-1.どんな資格なのか?
情報のデジタル化がすすむ今の時代、無線従事者は重宝される資格の一つです。電波を利用して通信の操作をするためにはこの免許が必要であり、その中でも幅広い分野で活躍できる資格となっています。1989年に電波法が改正され、無線従事者の資格は海上特殊無線技士・航空特殊無線技士・陸上特殊無線技士というように、利用分野別に再編されることになりました。今回は、陸上特殊無線技士についてご紹介しましょう。略して「一陸特」「一陸技」と呼ばれることもあります。
1-2.職務と必要性について
陸上の無線通信に用いる施設の技術的操作を行う資格です。たとえば、テレビの中継局や携帯電話の基地局などにおける設備操作、警察や消防無線の基地局設備も扱うことができます。電波法に定められている無線設備の操作や監督を行うためには、無線従事者を置くことが義務づけられているのです。そのため、就職や転職に大変有利な資格であり、取得しておくと幅広い分野で活躍することができるでしょう。
2.陸上特殊無線技士の種類
この資格には、扱える範囲によって第1級から第3級までがあります。それぞれの職務や違いについて解説しましょう。
2-1.第1級
空中線電力500ワット以下の多重無線設備で、30メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの技術操作を行うことができます。主に、テレビやラジオ中継を行う放送局、電気通信事業者、防災行政無線、無線電話中継所などで活躍することが可能です。もちろん、第2級・第3級の資格範囲も操作できます。
2-2.第2級
放送局や電気通信業務用の固定局、無線測位局すべての無線局で無線設備の技術的な操作を行うことが可能です。ただし、以下のような制限があります。
- テレビジョン放送局をのぞく無線局の空中戦電力が2キロワット以下のもの
- テレビジョン放送局の空中戦電力が500ワット以下のもの
衛生との通信や気象レーダーの操作、スピード違反を取り締まるためのレーダーも操作可能です。
2-3.第3級
第1級・第2級と比較して、周波数の範囲が限られている無線設備の技術操作が扱えます。
- 空中線電力50ワット以下の無線設備で25,010キロヘルツから960メガヘルツまでの周波数の電波を利用するもの
- 空中線電力100ワット以下の無線設備で1,215メガヘルツ以上の周波数の電波を利用するもの
また、消防や警察、タクシーなどの無線基地局を操作する場合、第3級があれば可能です。
3.難易度はどのくらい?陸上特殊無線技士の資格試験
では、この資格試験はどのくらいの難易度なのでしょうか。詳しく解説します。
3-1.級によって異なる難易度
試験は、級によって難易度が異なります。過去のデータでは、第1級の合格率が35.6%、第2級が81.5%、第3級が93%という結果です。この結果からも、第2級と第3級の難易度はあまり高くないことが分かるでしょう。特に第3級は、ある程度の知識があれば合格できる可能性が高くなっています。一方の第1級は2割~4割程度の合格率であり、受験者の半数以上が不合格という結果です。試験の難易度としては高めと考えてよいでしょう。
3-2.難易度が高いのはなぜ?
第1級陸上特殊無線技士は、陸上特殊無線技士の中でも上位資格と言われています。あらゆる無線局で技術操作ができることから、職務内容も広範囲です。情報化社会である今の時代、必要不可欠な資格と言えるでしょう。専門職であるため幅広い分野から求められる資格であり、就職にも大変有利です。そのため、第2級や第3級とは比較にならないほど難易度が高いことが考えられます。
3-3.第1級陸上特殊無線技士の試験対策について
第1級陸上特殊無線技士の資格試験は難易度が高めであるため、独学で合格するのは簡単ではありません。実務経験がある人でも、学習計画を立ててしっかりと対策することが必要です。試験の範囲も幅広いため、出題の傾向をつかむことが効率的な勉強方法と言えるでしょう。
4.陸上特殊無線技士の資格試験情報
資格試験の情報をご紹介します。受験資格や試験概要・試験内容などをまとめてみました。
4-1.受験資格
陸上特殊無線技士の資格試験は、誰にでも受けることができます。受験資格の規定は特になく、実務経験も問われることはないのです。つまり、未経験者でも受験できるため、幅広い年齢層・職業の受験者が毎年挑戦しています。
4-2.試験概要
資格試験は、毎年2月・6月・10月に行われています。会場は札幌・仙台・東京・長野・金沢・名古屋・大阪・広島・松山・熊本・那覇になりますので、詳細はインターネットで確認してください。受験料は5,352円です。指定の用紙に記入後郵送か、インターネットで申し込みをして、料金を振り込みます。日本無線協会の事務所に直接申し込むこともできるため、近くに事務所がないか確認してみましょう。
4-3.試験内容
試験科目は「工学の基礎」「無線工学A」「無線工学B」「法規」の4つになります。試験時間は、法規が2時間でそのほかが2時間30分です。すべて筆記試験であり、実地試験はありません。すでに第2級の資格を取得している場合は、法規の試験科目が免除となるため覚えておきましょう。免除を受けるためには事前の申請が必要になるため、忘れずに申請方法を確認しておいてください。
4-4.注意点
この試験は、無線工学が24問中15問正解、法規が12問中8問正解で合格となります。つまり、それぞれ62.5点、66.7点がとれれば合格できるため、すべての問題を解こうとする必要はないのです。そのため、分からない問題は後回しにして、分かる問題から確実に解いていきましょう。1問1問に時間をかけすぎると、時間が足りなくなってしまいます。分かる問題も解けないまま終わってしまうことのないよう、時間配分に気を付けましょう。
5.陸上特殊無線技士の講習と更新について
国家試験を受験しなくても陸上特殊無線技士の資格を取得できます。総務省から認定を受けた機関が行っている講習を受講する方法です。この講習会は試験もセットになっているため、合格すれば第1級陸上特殊無線技士の資格を取得できます。
5-1.受講資格
講習の受講資格には、以下のようなものがあります。
- 第1級陸上特殊無線技士の資格に係る選抜試験に合格した者
- 高校または中学の電気科または電気通信科を卒業した者
- 大学・短大・高専・高校・中学の電気通信に関する過程を卒業した者
- 第2・第3級総合無線通信士、第1・第2・第4級海上無線通信士または航空無線通信士の資格を有する者
受講資格に満たない場合は、選抜試験に合格することで受講が認められます。選抜試験には受験資格が定められてないため、誰にでも受験が可能です。
5-2.講習概要と講習内容
講習は毎月のように全国各地の会場で開催されています。講習を開催している機関のホームページに随時公開されているため、詳しい日時を確認してください。講習会場は全国各地にあります。インターネットか郵送・FAXで申し込みをし、受講料を支払うと受付が完了です。講習会資料が送付されてくるため、確認してください。受講料金は選択するコースや年齢によっても異なるため、それぞれホームページで調べておきましょう。講習内容としては、第1級の場合は法規6時間、工学48時間の受講が必要になります。
5-3.免許交付について
講習の修了試験に合格すると、講習の開催先が合格者名簿を委託先に送付し、免許申請の手続きを一括で行ってくれます。自分で申請する場合は、総務省のホームページから免許申請書をダウンロードし、必要事項を記入の上、顔写真と免許証返信用封筒を管轄の総合通信局に提出してください。そのほか、住民票のコピーや印鑑登録証明書など氏名および生年月日が確認できる書類、1,750円分の収入印紙、養成課程修了証明書を用意しておく必要があります。
5-4.免許更新について
陸上特殊無線技士の免許に更新の必要はありません。取得した免許は一生有効となりますが、氏名や住所などを訂正したい場合、免許証を紛失した場合などは再交付を申請することが可能です。無線従事者再交付申請書とともに手数料として2,200円分の収入印紙、写真、返信用封筒を同封して、交付を受けた総合通信局に提出してください。氏名や住所を変更する場合は、戸籍抄本と変更前の免許証も必要になります。
6.陸上特殊無線技士の取得に向けた勉強法
陸上特殊無線技士を取得するためには、どのような勉強をすればよいのでしょうか。おすすめの学習方法や独学のコツなどをご紹介します。
6-1.おすすめの学習方法
特に第1級は難易度が高いため、限られた時間で確実に合格するためには、効率的な勉強方法を知る必要があります。まず、参考書と問題集をそろえるところから始めましょう。参考書はすべて暗記する必要はありません。過去問題を解いていくうちに出題の傾向がある程度分かってくるため、必要だと思える部分だけ頭に入れていきましょう。過去問題は、日本無線協会のサイトから過去3回分をダウンロードすることができます。問題集と合わせてこちらの過去問題も解いていきましょう。ポイントは「解答を見ながら過去問題を解く」ということです。分からない問題に時間をかけるより、最初から解答と解説を見ながら解いていくことで、スムーズに理解できるようになります。慣れてきたら、回答を見ずに過去問題を解いていきましょう。本番のつもりで取りかかることをおすすめします。
6-2.参考書・過去問題集を紹介
陸上特殊無線技士の試験勉強におすすめしたい参考書や過去問題集をご紹介します。
6-2-1.第1級陸上特殊無線技士試験 集中ゼミ 第2版
過去問題をベースとし、試験に特化した内容の参考書です。各項の「試験直前check」には要点が簡潔にまとめられており、再確認に大変役立ちます。
6-2-2.第一級陸上特殊無線技士 合格精選470題 試験問題集
ほかの問題集と重複しない内容の問題集です。充実した解説と読みやすい長文問題が特徴で、非常に使いやすくなっています。
6-2-3.一陸特受験教室 無線工学
に関する知識が一切ないところから始める人におすすめです。問題集を解いていて分からない問題があるときなどに、この参考書があると大変参考になります。
7.陸上特殊無線技士試験に関するよくある質問
陸上特殊無線技士の受験を検討している人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
7-1.アマチュア無線免許を持っていますが、陸上特殊無線技士の資格は簡単にとれますか?
A.第3級であれば比較的簡単に取得できるでしょう。ただし、第1級は第3級に比べて難易度が高くなります。試験範囲も広くなり合格率も低いため、しっかりと時間をかけた対策が必要になるでしょう。
7-2.養成課程講習は国家試験より難易度が高いのですか?
A.難易度は同じくらいです。ただし、国家試験の場合は合格率が20~30%程度ですが、講習では合格まで徹底的に指導してもらうことができます。そのことを考えると、講習を受けた方が資格を取得できる確率は高いと言えるでしょう。
7-3.第3級陸上特殊無線技士の資格は中学生でも取得できますか?
A.受験資格に年齢や学歴、実務経験の制限はないため、中学生でも取得可能な資格です。第3級の試験内容は中学レベルで理解可能とも言われています。十分に合格できる可能性はあるでしょう。
7-4.独学だとどのくらいの勉強期間で第1級に合格できますか?
A.計画をしっかりと立てて勉強すれば2か月程度の勉強期間で合格が可能でしょう。無線の知識がある人なら、1か月程度で合格レベルに到達します。平日1時間程度、休日3時間程度勉強を続けていれば、この程度の期間で十分です。
7-5.ドローンの操縦に陸上特殊無線技士の資格が必要になるというのは本当ですか?
A.本当です。高性能なドローンは通信性能が高いため、本格的な操縦には第3級陸上特殊無線技士の資格が必要になります。ドローンの操縦をしたいなら、ぜひ第3級陸上特殊無線技士の資格試験を受けてみてください。
まとめ
陸上特殊無線技士の資格試験について、難易度や受験方法などをまとめてご紹介しました。この資格は就職や転職に大変有利になるため、通信関係の職に就くことを検討しているなら絶対に取得しておくべきです。試験は難しいイメージがあると思いますが、しっかりと対策を立てて挑むことで合格できる可能性は十分にあります。ぜひこの記事を参考にして、資格取得のために必要なことを知ってください。
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