消防設備士と危険物取扱者の資格取得について~両方取得するメリット
2017/01/12
消防設備士と危険物取扱者、どちらを取得するべきか迷っている人は多いと思います。どちらも国家資格であり、試験は消防試験研究センターが実施するため、同時に受験を検討しやすいのでしょう。この2つは、仕事内容も活躍できる現場も異なります。しかし、その違いがわからないという人も多いのではないでしょうか。それぞれの仕事内容や就職先、受験の方法などを把握し、両方の資格を取得するメリットについても考えてみてください。
この記事では、2つの資格の違いや資格試験について、詳しくご紹介します。
この記事を読むことで、2つの資格について知ることができます。ぜひ参考にして、将来について考えてみてください。
1.消防設備士と危険物取扱者について
まずは、2つの資格と試験について、その概要をまとめてみました。
1-1.消防設備士とは?
消防設備士とは、消防用設備の工事や点検を行う資格のことです。ここで言う消防用設備とは、消火栓やスプリンクラー、火災報知設備などが該当します。甲種と乙種があり、取り扱うことができる設備や試験の難易度が異なるため注意が必要です。甲種は工事と整備、点検というすべての業務に従事できますが、乙種は工事をすることはできません。
1-2.試験概要
試験の詳細をまとめてみました。
1-2-1.受験資格
乙種消防設備士は誰でも試験を受けることができます。甲種消防設備士には以下のような受験資格があるため、チェックしておいてください。
- 大学、短期大学、高等専門学校で機械、電気、工業化学、土木、建築に関する学課をおさめた者
- 電気工事士や建築士の資格を持つ者
- 乙種消防設備士の資格を取得したのち、2年以上の実務経験がある者
1-2-2.日程と会場
消防設備士の資格試験は全国の都道府県で開催されています。年に1回~数回実施されているため、ホームページで確認してみてください。自分の居住地ではどこが会場になるのかもチェックしておきましょう。試験の予定が合わない場合は、近隣の都道府県で受験することも可能です。
1-2-3.試験内容
甲種、乙種ともに筆記試験と実技が用意されています。筆記試験の内容は、法令や消防法の基礎知識から消防設備の構造に関するものです。実技は甲種が鑑別と製図、乙種が鑑別の問題が提出されます。電気工事士や電気主任技術者などの資格を持っている場合は筆記試験の一部が免除になるため、しっかりと確認しておきましょう。
1-2-4.合格率と難易度
合格率は甲種が30%前後、乙種が40%前後となっています。筆記試験において各科目40%以上、かつ全体で60%以上の正解率で合格です。難易度は区分によって異なりますが、ほかの資格試験と比較すると比較的取得しやすい資格であると言えるでしょう。
1-2-5.受験料と申し込み方法
試験の申し込み方法としては書面申請と電子申請があります。試験日の1か月半~2か月前になると申し込みが開始になるため、ホームページを確認してください。1週間ほどで申込期間が終了してしまうため、早めに申請の手続きをしましょう。受験料は甲が5,000円、乙種が3,400円です。
1-3.危険物取扱者とは?
危険物を取り扱うための資格です。甲種・乙種・丙種の3種類があり、それぞれ取り扱える危険物の範囲が異なります。特に甲種は、最も活躍の場が広がる資格と言えるでしょう。そのため、試験の難易度も高くなっています。まずは人気の高い乙4など、取得しやすい資格から挑戦し、実務経験を積んでいくとよいでしょう。
1-4.試験概要
試験の詳細をまとめてみました。
1-4-1.受験資格
乙種と丙種は受験資格がなく、学生などの若者にも人気の資格です。甲種に関しては、以下のような受験資格があります。
- 大学で化学を専攻し卒業した者。または、15単位以上を取得した者
- 乙種を取得し、2年以上の実務経験がある者
- 乙種免状のうち4種類以上を有する者
1-4-2.試験の日程と会場
試験日は都道府県によって異なります。詳しい日程については消防試験研究センターのホームページで確認してください。試験会場は各都道府県の大学や専門学校になっている場合が多いため、近隣の会場についても調べておきましょう。
1-4-3.試験内容
試験では以下のような問題が出題されます。
- 危険物に関する法令
- 物理学および化学
- 危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法
1-4-4.合格率と難易度
合格率は甲種が3割、乙種は7割、丙種は6割です。最も合格率が高いのは乙種ですが、乙4だけは受験者数が多いこともあり、合格率が少し下がります。難易度としては、甲種が「やや難しい」、乙種が「やや易しい」、丙種が「かなり易しい」というレベルになるでしょう。
1-4-5.受験料と申し込み方法
願書の提出は、簡易郵便で送る方法と直接持ち込む方法、電子申請する方法があります。受験料は、甲種が5,000円、乙種が3,400円、丙種が2,700円で、郵便局からの払い込みをしてください。
2.消防設備士と危険物取扱者の違い
消防設備士と危険物取扱者は、仕事内容や就職先などに違いがあります。
2-1.仕事の違い
消防設備士は消防用設備を点検、整備、工事することが主な仕事です。不特定多数の人たちが集まる施設には、火災の発生を防ぐための消防用設備を設置する必要があります。スプリンクラーや火災報知器などの消防用設備を設置することは消防法で決められており、その設置や点検を行うのが消防設備士の仕事です。無資格の人が消防用設備を取り扱うことはできません。一方の危険物取扱者は、保安点検を始め、タンクローリーを運転することも可能です。
2-2.就職先の違い
消防設備士の主な就職先には、ビル管理やメンテナンス業務を行う会社などがあります。そのほかにも、消防用設備が設置してあるデパートやホテルなどに勤務する人も多いです。甲種を取得していればプラント建設会社などへの就職にも有利になるでしょう。危険物取扱者は、ガソリンスタンドや化学工場などへの就職が多くなります。そのほかにも、プラントの安全管理やメンテナンスを行う会社、危険物貯蔵倉庫会社、石油関連施設が主な就職先です。
3.両方を取得するメリット
この2つは似ているように感じますが全く異なる資格です。仕事内容も就職先も違うため、両方の資格を取得したからと言って現在の職場で給料がアップするようなことはありません。しかし、特に危険物乙4と消防設備士乙6との関連は深く、ビルメンテナンス会社など両方の資格が必要になる職場もあるのです。そういった職場で働く上では大きなメリットになるでしょう。また、将来のことを考えると、複数の資格を保有しておくことは安心です。たとえば、消防設備士として独立し、仕事がうまくいかなくなったとき、別の仕事に就くことを考えることもあるでしょう。そのとき、危険物取扱者の資格を持っていれば、仕事の幅も広がりますよね。どちらの資格試験も同じ機関が実施しているため、同時にチェックしてみてはいかがでしょうか。
4.消防設備士と危険物取扱者に関するよくある質問
「消防設備士と危険物取扱者について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
4-1.消防設備士の分類はどうなっているのですか?
A.消防設備士には甲種と乙種があり、甲種には1~5類、さらに特類があります。乙種は1~7類まであり、1~5類までは甲種と同じ区分です。6類は消火器、7類は漏電火災警報器の取り扱いができます。
4-2.消防設備士の資格は更新の必要がありますか?
A.最初に資格を取得してから2年以内、その後は5年以内ごとに、都道府県知事が行う講習を受ける必要があります。この講習によって更新ができるため、忘れないように受講するようにしましょう。
4-3.危険物乙4の受験者数が多いのはなぜですか?
A.取り扱う危険物が身近な物質であるため、資格者に対する需要が多いことが理由です。最初に乙4を受験して、一部科目の免除制度を利用しながらほかの類を受験する方法が効率的でしょう。
4-4.消防設備士や危険物取扱者の資格試験には、独学でも合格可能ですか?
A.もちろん可能です。仕事をしながら独学で試験勉強をしている人もたくさんいます。勉強は暗記と過去問題が中心になるため、すき間時間をうまく有効活用してすすめていきましょう。
まとめ
消防設備士と危険物取扱者の資格について、それぞれの概要と違いをまとめて解説しました。どちらの資格も需要が多く、幅広い職場で活躍できるものです。将来は独立開業を目指すことができる資格であるため、早めに取得しておくことをおすすめします。独立してうまくいけば今よりずっと仕事の幅も広がり、年収もアップすることになるでしょう。何よりも、安定した仕事を得られる資格です。ぜひこの記事を参考にして、資格を取得する方法について知ってください。
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