ダクトの種類や用途・材質は?管工事施工管理技士になるための必要知識
2016/01/31
建築物の中にある「ダクト」は空調・換気・排煙など排気が目的の設備です。ダクトがなければ室内は悪い空気でいっぱいになってしまいます。新鮮な空気を取りいれることはできないでしょう。
そこで、ダクトの種類や用途、材質など詳しく説明していきましょう。ダクトの知識を身につけておかなければならない“管工事施工管理技士”を目指している人はぜひチェックしてください。正しく取り扱えるように知識を習得しておきましょう。
1.ダクトの種類
建設業において「ダクト」は管工事業の1つになります。ダクト工事として実施しますが、主任技術者になるには管工事施工管理技士の資格を取得して10年以上の実務経験が必要です。空調に必要なダクトの種類はどんなものがあるのでしょうか。それぞれの特徴を一緒に見ていきたいと思います。
1‐1.角がある「角ダクト」
ダクトの種類は設置する場所によってさまざまです。主に種類をわけるなら「角ダクト」と「丸ダクト」の2種になります。まっすぐなデザインから曲がっているものまでさまざまなデザインがそろっているでしょう。角ダクトは丸ダクトよりも角ばっています。丸まっているわけではないので区別しやすいです。
直管はまっすぐに伸び、場所によってはL字型に曲がるケースもあります。曲がった角ダクトとしてはエルボがあがるでしょう。エルボの角度はおよそ90℃です。調理場ではよく見かけるタイプになります。フードと呼んでいる角ダクトは調理器具のうえに設置することが多いでしょう。箱型・山型になっているため、排気性能が高いです。
1‐2.丸まっている「丸ダクト」
「円形」とも呼んでいる「丸ダクト」は丸まっているのが特徴的のダクトです。直管には標準として定尺4mのスパイラル管を使用します。角ダクトやチャンバーなどから丸ダクトを取り出す際、使用する“カラー”や丸ダクト同士をつなぐ“ニップル”などさまざまな種類があるでしょう。
丸ダクトを分岐するために使うつなぎ手の役割を担うのが“分岐管”です。主に、分岐管にはT管・Y管・TY管の3種類があります。T管は幹から90℃、Y管は45℃、TY管は45℃~90℃出ているものと角度の大きさによって異なるのです。
1‐3.設置する施設の大きさによって異なる種類
ダクトの種類は「設置する施設の大きさ」によって異なります。スーパーやコンサートホール、病院など中規模以上の施設に設置するダクトは「空調ダクト」です。人が多く集まる場所には必ずと言っていいほど設置しています。空調ダクトを設置する際、空調調和機やダクトの接続に使うのが“キャンバス”です。キャンバスは振動がダクトに伝わらないよう工夫できます。
工事や事務所、店舗などに設置されているダクトは「換気ダクト」です。室内にたまった空気をそとに出して、室内に新鮮な空気を取りいれるには必要不可欠なダクトになるでしょう。
飲食店や食品加工工場など調理する場所には「厨房(ちゅうぼう)排気ダクト」が、大規模な建物に必ず設置しているのは「排煙ダクト」になります。火災時、スムーズに非難ができるように排煙ダクトには“ダンパー”などの空調設備がついているでしょう。
2.ダクトの用途
2‐1.空調(SA・RA)と外気(OA)
ダクトの用途は主に空調(SA・RA)、排気(EA)、外気(OA)、排煙(SEA・SM)の4つに分類しています。空調(SA・RA)はSupply Air、Return Airが正式名称です。冷たい・温かい風が流れているものを給気の意味を持つSA、部屋から空調機への還りを意味しているのがRAになります。空気を送りこむ場合はほとんど保温断熱することが多いでしょう。
つまり、保温材の1つだと思ってください。空調を目的としてのダクト設置場所は、空気の入れ替えが必要なところになるでしょう。たとえば、食品関係のクリーンルーム、手術室などです。一定の給排気が大きなポイントになります。そして、外気(OA)は、Outdoor Air、Outside Airなどが正式名称です。そとにある空気を建物内へ取りこむ目的になります。鳥や昆虫が混入しないようメッシュの金網が必要でしょう。
2‐2.排気(EA)と排煙(SEA・SM)
たくさん煙が出る場所は、排気(EA)を目的としたダクトの設置が必要です。たとえば、厨房(ちゅうぼう)排気が当てはまるでしょう。有機溶剤や臭気が発生する場所でも役立ちます。場合によっては高温低温の空気をそとに排出するケースもあるのです。
場所によってはダクトに工夫をしておかなければなりません。厨房排気の場合、延焼する恐れがあります。延焼を防ぐためダクトへ油分を付着しない油分分離装置(グリスフィルター)を取りつけるでしょう。実験や放射線設備の排気ではフィルターで処理してからでないと排出できません。そして、排煙(SEA・SM)は火災時に発生する煙をそとに排出する目的で使用します。延焼を防ぐため断熱することがほとんどです。
3.ダクトの材質
3‐1.角・丸ダクトは建築設計図や施工図に基づいて製作する
設置場所によってダクトの種類やデザインが異なるように、素材も変わります。角・丸ダクトの素材は一般的に建築設計図や施工図に基づいて製作しなければなりません。必要な素材を集め、現場で組み立てる形になります。主に使っている素材は亜鉛めっき鉄板、ガルバリウム鋼板、ステンレス鋼板、塩ビ被覆鋼板の4種です。
亜鉛めっき鉄板が4種の中で主流になっている素材でしょう。指定がない限り、ほとんどが亜鉛めっきで製作します。ガルバリウム鋼板は耐熱を求める場所に使用することが多いです。ステンレスはサビ防止、塩ビ被覆鋼板は耐食・耐薬品用として使用します。
以上のように、設置場所の状態によって使う素材が異なるので注意しなければなりません。ほかにも、場合によってはスーパーダイマやアルシートなどの素材を使います。
3‐2.ダクトに必要な材料は?
材質は以上のとおりですが、ダクトの設置にはさまざまな材料が必要になります。たとえば、排煙ダクトに使用することが多い「板厚」は空気圧の関係で0.5mm~1.2mmの板厚を使うでしょう。角ダクトの部材を組み立てるときは「ボタンパンチはぜ」が主流になります。板を直角につなぐためには必要不可欠な材料です。
ダクト同士を接続するときはダクトの端(はし)いフランジ加工をします。フランジ加工をするため、共板フランジ接続とアングルフランジ接続どちらかでほどこすでしょう。また、ダクト補強材としてフランジ状のアングル鋼や突っ張り棒を取りつけるケースもあります。
まとめ
ダクトの種類や用途、材質について説明しました。設置場所によってダクトの大きさ、種類、デザイン、材質などさまざまな部分が変わってきます。使用用途に合ったダクトを設置しなければ上手に機能しません。設置場所の環境や状況をきちんと踏まえたうえで、適切な種類を選ぶことが大切なポイントになります。さまざまな知識を習得しておかなければ、正しいダクトの設置ができないでしょう。
最初は混乱してしまいますが、ダクトの仕組みや種類を把握しておけば自然と分析できるようになります。管工事施工管理技士として働くためにも、日々の勉強が必要不可欠です。種類と同じく特徴についても把握しておきましょう。
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