ボイラーの検査にはどのような種類があるの?事業者が行える?
2015/11/26
ボイラーは、普段私たちがあまり目にすることのない機器です。
しかし、私たちの生活のいろいろな場所で、ボイラーから作られるエネルギーが役立っています。
ボイラーは大きなエネルギーを生み出す装置ですから、定期的な点検は欠かせません。
そこで、今回はボイラーの検査にはどのような種類があるか、ということをご説明しましょう。
また、ボイラーを検査することができる有資格者についてもご説明します。
職場でボイラーを使っている方やボイラー技士の資格取得を目指して勉強している方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
1.ボイラーとは?
ボイラーとは、燃料を燃焼させて水をお湯や蒸気に変える熱交換装置を持った熱源機器です。
といってもイメージがわかない方がほとんどでしょう。
身近な例をあげると、給湯器もボイラーの一種です。
給湯器が沸かせる水の温度は低いですが、工場などで使われているボイラーは、水を短時間で大量に沸騰させることが可能になっています。
ボイラーで沸騰させたお湯の熱を使ったり、発生した蒸気を動力源にしたりしているのです。
蒸気機関車や大型船舶、さらに火力発電所などはボイラーで作られた蒸気を利用して動いたり発電をしたりしています。
ボイラーは運転中に大量の水を沸騰させますから、内部は高温になり高い圧力もかかるのです。
ですから、試用しているうちに部材に変化が生じ、腐食や割れ、さび、変形などが生じることもあるでしょう。
また、設置の仕方に不備があると事故が発生する可能性もあります。
2.ボイラーの検査とは?
では、ボイラーにはどのような検査が必要なのでしょうか?
この項では、検査の種類を具体的にご紹介します。
2-1.構造検査
構造検査とは、ボイラーや第一種圧力容器を製造したときに行う検査です。
前述したように、ボイラーは使用するときに高い圧力がかかったり高温になったりします。
ですから、労働安全衛生法に基づき、試用される材料や構造が定められているのです。
その構造要件を満たしているかどうかの検査になります。
2-2.使用検査
使用検査とは、外国で製造されたボイラーを日本に輸入したときに受ける検査です。
外国で製造されたボイラーは構造検査を受けていないので、輸入されたときに検査を受けます。
また、外国で長い間使われていたボイラーを日本に輸入した場合も、この検査が必要です。
2-3.性能検査
年に一度ボイラーの状態を確かめる検査です。
ただし、単に運転を停止して検査するだけではありません。
本体を冷却させ、掃除なども必要です。
性能検査は、厚生労働大臣の登録を受けた登録性能検査機関が行うように法律で定められています。
ですから、持主が自分で勝手に検査を行うことはできません。
また、性能検査で不合格となると、そのボイラーは修理するなどして再度検査を受けない限り使用不能になります。
2-4.輸出検査
輸出検査は使用検査とは逆に、日本で製造されたボイラーを海外へ輸出する際に受ける検査です。
この検査を受けることにより、輸出国が請求する規格をつけられます。
2-5.使用再開検査
しばらく仕様を休止していたボイラーを再稼働させる際に受ける検査です。
使っていたときに性能検査をパスしているからといって、使用再開検査を受けずに運転を再開してはいけません。
2-6.自主検査
ボイラーは1か月に1回、事業者が自主検査を行いその結果を記録して残しておかなくてはなりません。
これは、ボイラーおよび圧力容器安全規則第32条第1項、第67条第1項に定められている決まりです。
自主点検で異常が見つかった場合は、すぐに対処しなければなりません。
3.ボイラーにかかわる資格とは?
ボイラーは扱い方を間違えば、大事故が発生する危険な機器です。
ですから、一定の大きさのボイラーを取り扱ったり整備したりするためには資格が必要になります。
この項では、ボイラーにかかわる資格についてご紹介しましょう。
3-1.ボイラー技士
ボイラーにかかわる資格といえば、これを思い浮かべる方も多いでしょう。
ボイラー技士とは等級に応じたボイラーの取り扱いや、点検、そして安全管理を行える国家資格です。
ただし、ボイラー技士の資格を持っていてもボイラーの整備は行えません。
点検と整備は別のものですので、混同しないようにしましょう。
3-2.ボイラー整備士
名前のとおり、ボイラーを整備できることができる資格です。
ただし、溶接をともなう整備が必要な場合は、ボイラー溶接士の資格を取得した人でなければ行えません。
ですから、ボイラー溶接士とボイラー整備士の資格を両方取得する人もいます。
3-3.ボイラー溶接士
ボイラー溶接士は、ボイラーの溶接業務ができる資格です。
ボイラー整備士とボイラー技士は一度資格を取得すればずっと有効ですが、溶接士だけは資格に有効期限があります。
これは、溶接作業に従事していなければ、技術の維持が難しいからです。
ですから、溶接の仕事をしている方が、仕事の幅を広げるために取得することも多いでしょう。
4.ボイラーにかかわる資格を取得するメリットとは?
ボイラーは大きさによって運転や整備に技士や整備士が必要です。
しかし、現在は法律では技士や整備士を選任しなくてよいボイラーでも、取り扱いを有資格者に任せるところが少なくありません。
ですから、ボイラーを備えている職場は、技士や整備士の資格を取得していると就職や転職に有利でしょう。
また、ボイラー溶接士はボイラーの製造だけでなく、整備や修理を行っている業者でも需要が高いです。
前述したように、ボイラーはその性質上、こまめな点検が法律で定められています。
また、発電所のボイラーのように24時間フル稼働しているものは、どうしても故障が多くなるのです。
ですから、ボイラーを整備したり修理したりできる技術者も重宝されるでしょう。
ボイラーにかかわる資格は実務経験がないと受験できないものと、受験資格がないものがあります。
なので、資格を取得したい場合は、まず自分が取得したい資格の受験要綱をよく読んで挑戦してみてください。
また、ボイラーの整備補助などの仕事をしている方は、資格を取得しておくと資格手当がついたり責任ある仕事を任されたりするでしょう。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回は、ボイラーが行う検査の種類についてご紹介しました。
まとめると
- ボイラーは燃料で水を沸騰させて熱や蒸気を動力源に使う機器である。
- 工場や発電所、蒸気機関車や大型船舶などボイラーを使っている施設はたくさんある。
- ボイラーは製造したときや、輸出入するとき、さらに定期的に検査が必要である。
- 自主検査は事業者が行える。
- 性能検査は厚生労働大臣の認可を受けた機関が行わなくてはいけない。
- ボイラーを扱ったり整備したりするには資格が必要。
ということです。
ボイラーの歴史は古く、19世紀には動力源として世界中で利用されていました。
しかし、整備を怠ったり不備をそのままにしておいたりすると、前述したように大事故が発生する可能性が高くなります。
ですから、ボイラーを取り扱っている業者は、たとえ小さいものでも定期的に検査を行わなければなりません。
また、ボイラーを取り扱う仕事に就いている方は、機会があれば資格を取得しておくとよいでしょう。
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