冷凍機器・冷凍設備の資格「冷凍機械責任者」になるための秘訣は?

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「キャリアアップに役立てたい」「就職・転職に有利だと言われたから」など、冷凍機械責任者の資格取得を考えている方は多いでしょう。冷凍機械責任者は試験の種類によって難易度が異なります。「簡単に合格できるだろう」と甘く考えていれば、不合格となって受験費用や時間が無駄になってしまうでしょう。

そこで、これから冷凍機械・冷凍設備とは何なのか、冷凍機械に関連する資格について説明します。

  1. 冷凍機械・冷凍設備とは?
  2. 冷凍機械責任者とは?
  3. 冷凍機械責任者の職場、求人について
  4. 冷凍機械責任者の種類について
  5. 冷凍機械責任者と冷凍機械保安責任者について
  6. 冷凍機械責任者の試験について
  7. 冷凍機械責任者の講習について
  8. 冷凍機械責任者の資格取得勉強法は?
  9. 冷凍機械に関してよくある質問

この記事を読むことで、冷凍機械責任者の資格取得に必要な知識を身につけることができます。そして、万全の試験対策ができるでしょう。


1.冷凍機械・冷凍設備とは?

冷凍機械責任者として働くには、冷凍機械・冷凍設備について知ることが大切です。これから、定義や種類・目的・関連する法律について説明します。

1-1.冷凍機械・冷凍設備の定義

冷凍機械・冷凍設備は対象物を冷凍するための装置です。食べものを凍らせるために使用しますが、空調でも使用されます。空調で使用する冷凍設備は、空気や水の温度を下げる仕組みです。気温が高くなる夏場は冷凍設備が役立ちます。

1-2.冷凍機械・冷凍設備の種類

冷凍機械・冷凍設備の種類は主に「蒸気圧縮冷凍機」「蒸気噴射冷凍機」「吸収冷凍機」「電子冷凍装置」「磁気冷凍機」の5種類があります。最も広く使用されているのは「蒸気圧縮冷凍機」です。

  • 蒸気圧縮冷凍機…アンモニアや二酸化炭素などを冷媒にして気化熱を発生させ熱を奪い取る冷凍機。コストパフォーマンスに優れている。
  • 蒸気噴射冷凍機…冷媒に水を使用してエゼクターとディフューザーで圧縮する冷凍機。
  • 吸収冷凍機…冷媒には吸収力が高い液体を使用する。フロン類を使用せず、消費電力が少ない。
  • 電子冷凍装置…金属の接触点に電流を流して熱を発生・吸収させる冷凍機。
  • 磁気冷凍機…磁場の変化を活用した冷凍機。冷凍効率が高く、地球温暖化防止に貢献することで注目を浴びている。

1-3.冷凍機械・冷凍設備の目的

家庭で身近な冷凍機械と言えば「冷蔵庫」です。冷蔵庫は食べものを保存するために必要不可欠な家電になります。品質管理・保持・動植物の生育環境を維持することが冷凍機器・冷凍設備の目的と言えるでしょう。

1-4.設備管理に関連する法律

冷凍機械・冷凍設備に関連する法律は「冷凍保安規則」です。冷凍保安規則は高圧ガス取締法に基づいています。主に、高圧ガスの製造に関する項目や冷凍機械の保安検査・定期自主検査などが記載されている法律です。

空調も冷凍設備の一種なんですね。
はい。家庭から不特定多数が利用する施設まで、なくてはならない設備です。

2.冷凍機械責任者とは?

冷凍機械・冷凍設備に関連する資格は「冷凍機械責任者」です。一体、どんな資格なのでしょうか。詳しく見ていきたいと思います。

2-1.資格概要

冷凍機械責任者は高圧製造保安責任者の1つです。試験を受けるのに年齢制限や受験資格はありません。冷凍機械責任者は「冷凍機械を管理する資格」と勘違いしている人が多いです。けれども、冷凍機械・冷凍設備を管理するだけの資格ではありません。管理だけでなく、製造に関係する保安も担当します。

2-2.準拠する法律

冷凍機械責任者は「高圧ガス保安法」に基づいている資格です。資格取得を考えている方は、高圧ガス保安法を知っておいたほうがいいでしょう。高圧ガス保安法は、高圧ガスによる災害防止のために制定されました。冷凍機械に使用される高圧ガスの製造から貯蔵、輸入、移動、消費などが詳しく定められています。

2-3.冷凍機械責任者の職務

主な職務となるのは、冷凍機械・冷凍設備に関係する保安業務です。一定規模の冷凍設備がある施設では、必ず有資格者の中から冷凍保安責任者を選ばなければなりません。より大きい冷凍設備を担当したいのなら、資格を取得したほうが有利です。

冷凍機械責任者とは、高圧製造保安責任者の1種なんですね。
はい。取得すれば冷凍機械の安全管理等ができます。

3.冷凍機械責任者の職場、求人について

せっかく資格を取得したのに働ける場がないと意味がないですよね。そこで、冷凍機械責任者の職場、求人についてきちんと把握しておきましょう。

3-1.冷凍機械責任者の必要性

冷凍機械には電気を使用するものと高圧ガスを使用するものがあります。特に、高圧ガスは危険性が高く、大量の高圧ガスが引火、もしくは衝撃が加わると大事故につながるのです。そのため、高圧ガスの扱い方を把握している冷凍機械責任者の存在が必要になります。

3-2.就職について

大型の冷凍機械、冷凍設備を取り扱っている会社や企業は、知識を持っている有資格者を求めています。無資格者よりも冷凍機械責任者の肩書きを持っていたほうが就職・転職に有利なことは確かです。大きい会社・企業で働きたい方は資格取得をおすすめします。

3-3.冷凍機械責任者の職場

ビルや商業施設、工場など大規模施設が冷凍機械責任者の主な職場になります。検索してみるとわかるように、冷凍機械責任者の求人はビル管理会社が多いです。ビルには大型の冷凍設備があるため、冷凍機械責任者が重宝されるでしょう。

3-4.資格のメリット

資格のメリットは「転職・就職に有利」「キャリアアップにつながる」「昇給が期待できる」点です。冷凍機械責任者を取得している人は、ほとんどが30代~50代の中年世代になります。ビル管理会社で働いている方、冷凍機械関連の仕事がしたい方はキャリアアップにつながる資格ですね。また、資格を持っておけば資格手当といった給料面も期待できます。

有資格者には常に一定の求人があるんですね。
はい。取得しておけば転職や昇進・昇級に役立ちます。

4.冷凍機械責任者の種類について

冷凍機械責任者には第一種・第二種・第三種にわかれています。それぞれの種類によって職務範囲が異なるので注意してくださいね。

4-1.それぞれの職務

冷凍機械責任者第一種・第二種・第三種の職務は以下のとおりです。

  • 第一種:すべての製造施設において冷凍機械の製造にかかわる保安
  • 第二種:1日の冷凍能力が300t以内の製造施設において冷凍機械の製造にかかわる保安
  • 第三種:1日の冷凍能力が100t以内の製造施設において冷凍機械の製造にかかわる保安

4-2.資格の種類の違い

第一種~第三種の職務範囲を見てわかるように「取り扱える冷凍機械」が異なります。級が低くなるほど取り扱いができる冷凍機械も限られてくるのです。より幅広い冷凍機械を扱いたい方は第一種の取得をおすすめします。第三種の試験から挑戦して第二種・第一種を受けるという方も多いですよ。

資格区分は3種類なんですね。
はい。初めて挑戦するならまずは第3種取得を目指すのがおすすめです。

5.冷凍機械責任者と冷凍機械保安責任者について

冷凍機械責任者に似ている資格、「冷凍機械保安責任者」があります。冷凍機械保安責任者とはどんなものなのか、一緒に見ていきましょう。

5-1.冷凍機械保安責任者とは?

冷凍機械保安責任者は、高圧ガスを安全に使用するための役割を担っています。基本、冷凍機械責任者の役割と変わりません。保安業務から指揮・指導業務、定期点検と記録の保持などをおこないます。簡単に説明すると冷凍機械責任者のまとめ役ですね。

5-2.冷凍機械責任者と冷凍機械保安責任者の違い

冷凍機械保安責任者は冷凍機械責任者の中から選任しなければなりません。つまり、冷凍機械保安責任者になるには冷凍機械責任者の資格が必要です。また、冷凍機械責任者たちを1つにまとめる大切な役割を担っています。多くの人をまとめたい、スキルアップしたい方は冷凍機械責任者の資格を取得して、冷凍機械保安責任者を目指しましょう。

冷凍機械責任者の有資格者の中から、冷凍機械保安責任者を選任するんですね。
はい。選任は必要なので、資格を持っていればそれだけ出世の道も開かれやすくなります。

6.冷凍機械責任者の試験について

冷凍機械責任者になるには国家試験に合格しなければなりません。そこで、試験を受ける前に受験資格や試験内容、難易度などチェックしておきましょう。

6-1.受験資格

冷凍機械責任者の資格試験は「高圧ガス保安協会」が実施しています。受験資格は特に決まっていません。年齢、学歴、経験に関係なく誰でも受験できます。

6-2.試験内容

冷凍機械責任者の試験科目は「法令」「保安管理技術」「学職」の3科目です。出題方式は法令と保安管理技術が選択式、学職だけが記述式になります。冷凍機械責任者第3種は学職がなく、法令と保安管理技術の2科目です。

6-3.実施日

冷凍機械責任者の試験日は1年に1回、11月に実施されます。毎年1回限りの試験なので、申し込みし忘れないように注意してくださいね。

6-4.実施地域

試験が実施される地域は資格の種類によって異なります。第一種冷凍機械責任者は経済産業局単位での実施です。日本各地にある経済産業局が試験会場になるでしょう。そして、第2種冷凍機械と第3種冷凍機械は都道府県単位で実施されます。

6-5.実務経験について

冷凍機械責任者の試験はすべて実務経験は不要です。まったく経験がない方でも安心して試験を受けることができます。ただし、冷凍機械保安責任者になるには1年以上の実務経験が必要です。

6-6.申し込み方法と受験手数料

冷凍機械責任者の試験申し込みは、実施日の2か月前から高圧ガス保安協会で受けつけています。申し込み方法はインターネット、または書面の2つです。受験手数料は資格の種類と申し込み方法によって変わるため注意してください。

  • 第一種:インターネット受付 12,400円、書面受付 13,000円
  • 第二種:インターネット受付 8,500円、書面受付 9,000円
  • 第三種:インターネット受付 7,900円、書面受付 8,400円

6-7.難易度、合格率

冷凍機械責任者は国家試験の1つですが、難しい試験ではありません。冷凍機械責任者の合格率は、第1種でおよそ41%、第2種は39%、第3種は50%です。第1種・第2種は合格率が低くとも、きちんと勉強すれば合格できる試験なので安心してください。

受験資格は定められていないんですね。
はい。そういう意味では挑戦しやすい資格といえます。

7.冷凍機械責任者の講習について

国家試験科目の一部を免除してくれる制度「高圧ガス製造保安責任者講習」があるのをご存じですか?これから、冷凍機械責任者の講習について詳しく説明しましょう。

7-1.講習による一部試験免除制度とは?

高圧ガス保安協会がおこなう講習の課程を修了した方だけ、冷凍機械責任者試験の一部免除が適用されます。免除される科目は保安管理技術と学職です。

7-2.講習の概要

高圧ガス製造保安責任者講習はいつ開催されているのか、内容や受講料金について説明します。

7-2-1.開催日時

講習は資格の種類によって異なります。冷凍機械責任者第1種は年に1回、5月下旬ごろに全国5か所程度で開催される予定です。第2種と第3種冷凍機械は毎年2回、2月ごろと6月ごろに開催されます。第2種は全国20か所程度ですが、第3種は全国30か所程度で開催予定です。

7-2-2.講習内容

講習内容は第1種・第2種ともに「法令」「保安管理技術」「学職」の3科目です。それぞれ7時間の講義を3日間かけて受けます。一方、第3種は「法令」と「保安管理技術」の2科目です。また、講習の終わりには検定試験を受けなければなりません。検定試験は3日間の講義を受講した者だけが受験できます。検定試験の内容は第1種・第2種が「保安管理技術」と「学職」、第3種は「保安管理技術」です。

7-2-3.講習にかかる金額

講習にかかる金額は資格の種類と申込方法によって異なります。

  • 第一種:一般 21,100円、インターネット 20,500円
  • 第二種:一般 18,900円、インターネット 18,400円
  • 第三種:一般 16,200円、インターネット 15,700円

7-3.法定義務講習の概要

冷凍機械責任者の資格保有者、または、保安責任者に選任された場合、決められた期間内までに法定義務講習を受けなければなりません。初回は免状の交付を受けた年度の翌年度から3年以内、2回目以降は前回受講した年度の翌年度から5年以内となっています。

7-4.各種講習の申込方法

講習の申込方法はインターネット、または書面での受付になります。高圧ガス保安協会のホームページから簡単に申込ができるので、ぜひチェックしてください。

高圧ガス保安協会 各種講習のインターネット申込ページ:https://www.khk.or.jp/denshi/goannai.htm

講習を受けると試験の一部が免除されるんですね。
はい。絶対に資格取得したいときは受けるのがおすすめです。

8.冷凍機械責任者の資格取得勉強法は?

冷凍機械責任者の資格を取得するには過去問やテキストを使用しながらの勉強が大切です。具体的な勉強法をご紹介します。

8-1.冷凍機械責任者の過去問題

最低でも冷凍機械責任者の過去問題は1冊持っておいてください。過去問をたくさんとけばとくほど、さまざまな問題の対応・応用力を身につけることができます。おすすめの過去問は日本冷凍空調学会が出版している「試験問題と解答例」です。

8-2.参考テキストの紹介

どんなテキストを選べばいいのか、悩んでいる方は多いでしょう。テキストの選び方は、自分がわかりやすい内容になっているかどうかです。実際、本屋に行ってページを確認する、インターネットの口コミを確認するなどチェックしてみてください。また、試験の重要ポイントが記載されているかどうかも大切です。ちなみに、おすすめの参考テキストは、日本冷凍空調学会から出ている「SIによる初級冷凍受験テキスト」になります。第3種受験用のテキストで非常にわかりやすい内容ですよ。

過去問を活用することが合格の近道なんですね。
はい。ぜひ活用しましょう。

9.冷凍機械責任者に関してよくある質問

冷凍機械責任者に関してよくある質問を5つピックアップします。これから、試験を受けようと考えている方はぜひチェックしてください。

Q.試験の受験案内書、願書はどこで入手できるのか?
冷凍機械責任者の受験案内書や願書は高圧ガス保安協会都道府県試験事務所で7月ごろより配布されています。近くに事務所がない方はホームページから郵送での入手も可能です。ただし、送料が必要になります。

Q.試験の合格基準は?
試験の合格基準は各科目において60%程度です。きちんと参考書と過去問を使って勉強すれば合格基準に達成できます。

Q.講習修了証に有効期限はあるのか?
講習修了証に有効期限はありません。ただし、講習修了証は科目免除の申請手続きに必要なものなので必ず保管しておいてください。

Q.試験前にすべきことは?
試験前にすべきことは復習はもちろん、実施場所の確認をしておきましょう。なぜなら、当日になって迷子になり試験時間に遅れることがあるからです。試験前に必ず1度は試験会場に足をのばしてくださいね。

Q.免状の交付申請が知りたい。
国家試験に合格すれば、高圧ガス保安協会から免状申請書が送られてきます。免状交付に必要な書類を準備して申請書に記載されている住所に送付してください。

まとめ

将来、冷凍機械の取り扱いに従事したい、スキルアップのために資格取得を考えている方は「冷凍機械責任者」を取得してください。冷凍機械責任者は冷凍機械の保安業務をおこなうことができます。スムーズに資格を取得するためにも、必要な情報や知識を先に身につけておきましょう。

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