高気圧障害の原因や予防方法とは? 潜水に潜むリスクを知っておこう!

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水中では、体が何かに押し戻されるような感覚を覚えるでしょう。
これが水圧です。
中学や高校の物理の授業で、水圧について習った方も多いともいます。
潜水作業をするときにこの水圧が人体に悪影響を与える症状を、まとめて高気圧障害というのです。
そこで、今回は高気圧障害の原因や予防についてご紹介しましょう。
潜水士の活躍を描いた映画やドラマを見て、この高気圧障害のことを知ったという方もいると思います。
高気圧障害は潜水士の方だけ出なく、レジャーでダイビングを楽しむ方もかかる可能性のある病気です。
この記事を読んでしっかりと予防法を学んでください。

目次

  1. 体の器官と気圧の関係
  2. 高気圧障害の原因と症状とは?
  3. 高気圧障害を予防するためには?
  4. おわりに

1.体の器官と気圧の関係

私たちの体は、通常平地の気圧下で正常に働くようにできています。
気圧とは、大気の圧力のこと。すべてのものには圧力があり、水中には「水圧」というものがかかるのです。
私たちの体は、酸素を取りこんで二酸化炭素を吐きだしています。
取りこんだ酸素は血液に乗って各臓器や細胞に運ばれて、代わりに二酸化炭素を受け取った血液が心臓へと戻り、ろ過されるのです。
その後、二酸化炭素は吐息として吐きだされます。
つまり、私たちの体内には常に気体が存在するのです。
この気体は圧力の影響を受けて圧縮したり膨らんだり、また気泡ができたりします。
この体内の気体が健康状態に悪影響を与えるのです。
ちなみに、水中だけでなく高い山に上ったときなども気圧の変化で健康に悪影響が出ることもあります。

2.高気圧障害の原因と症状とは?

では、高気圧障害の原因や症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
この項では、その一例をご紹介します。

2-1.高気圧障害の原因とは?

高気圧障害の原因は水圧です。
水圧は深く潜るほど強くなります。
深海では、すべての物質が押し縮められて約半分の大きさになっているそうです。
プールなど、潜水用具をつけなくても潜れるくらいの深さならば、水圧の影響はほぼありません。
しかし、深く、そして長時間潜るほど水圧の影響は受けやすくなるでしょう。
高気圧障害は、昔は潜水病と呼ばれていました。
しかし、今ではダイバーなどレジャーで潜水をする方もかかる可能性があるということで、高気圧障害という名前で呼ばれています。

2-2.耳や鼻に現れる高気圧障害

高気圧障害は体の至る所に症状が出ますが、まずは耳に現れる症状をご紹介します。
耳の中耳から耳管という管によって口とつながっているのです。
この耳管は通常は閉じていますが、潜水するときにはこれを開けて内耳と外耳の圧力を調整しなければなりません。
これを、耳抜きといいます。
潜水技術を習うときに、必ずマスターしなければならない技です。
この耳抜きができないと、水圧が鼓膜を傷つけ、最悪の場合は破れてしまうでしょう。
また、鼻にも副鼻腔(ふくびくう)という穴が開いています。
急速に潜ると、この副鼻腔(ふくびくう)が水圧にまけて出血したり痛みを感じたりするのです。
また、鼻炎などで鼻がつまっていると、鼻の症状が出やすいでしょう。

2-3.皮膚に現れる高気圧障害

潜水するときは、ヘルメットやマスクをつけることがあります。
このヘルメットやマスクと体の間の気圧が、外圧よりも低くなったときにヘルメットやマスクがギュッと体に押し付けられたりするのです。
また、血流の関係で頭部が膨れ上がったりもします。
この症状も急激に潜水したときに起こりやすいでしょう。
また、ヘルメットの中への送気能力が不十分の場合も起こりやすいです。

2-4.肺に現れる高気圧障害

肺に現れる高気圧障害が、最も深刻です。
前述したように、肺には空気が入っています。
それが気圧によって体積が変わったりすると、最悪の場合肺の破裂などを引き起こすでしょう。
特に、浮上するときに息を止めていると、肺に入っている空気が過膨張となり、肺胞が破れます。
すると、空気が血液内に侵入し、塞栓となって末梢(まっしょう)血管を閉塞したりするのです。
また、肺胞が破れて胸腔(きょうこう)と通じると、肺の内外の圧力差がなくなってしまいます。
すると、外圧によっては胃が押し縮められて呼吸困難になるでしょう。

2-5.減圧症やそのほかの症状

水圧の変化によって起こるそのほかの症状としては、減圧症や酸素や窒素、二酸化炭素の中毒症状があります。
減圧症とは深く潜ったり1日に何回も潜ったりすることで、血液中の窒素が気泡となって血液の流れなどを止めてしまうのです。
また、空気量が不足したり体調が悪かったりすると酸素中毒や二酸化炭素中毒になることもあるでしょう。

3.高気圧障害を予防するためには?

さて、このように健康へ悪影響を与える高気圧障害を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
この項では、予防法の一部をご紹介します。

3-1.健康状態に気をつける

高血圧や低血圧の人や、体調の悪い人を潜水させると高気圧障害を発生するリスクがアップします。
ですから、潜水士の健康管理には十分気を配りましょう。
また、レジャーでダイビングをする際も、体調管理に気をつけてください。
旅行へ行くとつい羽目を外して遅くまでお酒を飲むこともあるでしょう。
その結果二日酔いになってしまったりしたら、その日のダイビングは中止してください。
高気圧障害になる可能性が高まるのです。

3-2.一日に何度も潜らない

潜水士になると、一日に複数回潜水することも珍しくありません。
しかし、深く長く潜るほど減圧症を発症するリスクは高まります。
ですから、潜水作業が必要な場合は、必ず複数の潜水士で行いましょう。
また、ダイビングスクールなどでは、同じ講師がいくつもの講座を受け持つこともあります。
しかし、講師が高気圧障害にかかってしまえば、残された生徒は命の危険性もあるのです。
ダイビングスクールの経営者は、必ず講座の数に見あった人数の講師をそろえておきましょう。

3-3.急浮上をしない

急浮上をすると。水圧が急激に変わります。
その結果、高気圧障害を発生する可能性が高まるのです。
潜水に慣れた人ほど急浮上のリスクは知っているでしょう。
しかし、初心者は不測の事態が起こってパニックになると、急浮上してしまいがちです。
ですから、初心者には必ず経験者がついて、指導をしながら潜りましょう。
特に、ダイビングスクールなどでは要注意です。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、高気圧障害についていろいろとご紹介しました。
まとめると

  • 高気圧障害とは、水圧の変化によって体に起こる悪影響のことである。
  • 皮膚や耳、鼻、肺などに症状が出て、ひどい場合は命にかかわる。
  • 潜水士は健康管理に気をつけて、無理な潜水をしないように心がける。
  • 初心者には経験者がつき、急浮上しないようにさせる。

ということです。
また、水温によっても高気圧障害が起こりやすくなります。
ですから、潜水しにくい温度の水へ潜るときは一層の注意を払いましょう。
さらに、万が一高気圧障害を発症したときに備えて、医療機関へすぐ連絡できる状態にしておいてください。
また、体調が悪いときはどんなにベテランでも潜水しない方がよいのです。
さらに、自分がどこまで潜っているのか、常に把握しておいてください。
視界などが悪いとどこまで潜ったのか分からなくなることがあります。

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