知っているようで、実は知らない。冷凍機の種類と特徴(基礎編)

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冷凍機がものを冷やす機械なのは、誰でも想像できます。しかし、冷凍機の種類や特徴となると、普通の人にはさっぱり。目にする機会もほとんどないので、わからないのは当然です。暮らしを支える冷凍機のことを、少し学んでみませんか?冷凍機械責任者をめざす方も、知っておかなければならない基礎編です。

  1. 冷凍機の役割と原理
  2. 冷凍機の種類と特徴
  3. 冷凍機械責任者

1.冷凍機の役割と原理

冷凍機は、文字どおり冷凍するための機械です。空調で使うときには、空気や水の温度を下げる役割を果たします。
夏の暑い日、打ち水した水が蒸発するとき、周囲のものから熱を奪うことはご存じでしょう。気化熱といいます。冷凍機の原理は、打ち水の作用と基本的には同じです。水の役割を果たすのが冷媒で、熱の運搬役をしています。
冷媒は、大別すると自然冷媒とフロン類の2つ。自然冷媒は、名前のように自然界にある物質を冷媒とするものです。環境にやさしい冷媒といえます。

  • アンモニア:比較的、広い温度域で使用されます。空調・加熱・冷却など、広い用途に使えますが、毒性や可燃性があるのが難点です。
  • 二酸化炭素:高い温度が取り出せる冷媒です。給湯・加熱・エアコン乾燥など、ヒートポンプの冷媒としても使われます。
  • 水:吸収式と呼ばれる冷凍機の冷媒として使われています。

一方、フロン類には、特定フロン、指定フロン、代替えフロンがあります。

2.冷凍機の種類と特徴

冷凍機は、冷媒を蒸発させる圧縮機の種類などで、いくつかの種類があります。今回は、4つの冷凍機についてです。

2-1.蒸気圧縮冷凍機

広く一般的に使われているのが蒸気圧縮冷凍機です。気体の冷媒を圧縮機で圧縮し、凝縮器で冷却して圧力が高い液体をつくります。そして膨張弁で圧力を下げ、さらに蒸発器を使い低温で気化。このときの気化熱で熱を奪い取ります。
使用する冷媒は、アンモニア、二酸化炭素、フロン類など。圧縮機の駆動には、電気式の場合は電動機、業務用ではガスエンジン・ガスタービンエンジン・蒸気タービンを使っているものがあります。

<長所>

  • イニシャルコストが安い
  • 小型のものが製造可能
  • 容量あたりの質量・体積が小さく安価
  • 成績係数(COP)が4.0~6.5と高く、凝縮器からの放熱が少ない
  • 点検の周期を長くできる

<短所>

  • 騒音がやや大きい
  • 電動機を使う場合、最大需要電力の増加要因に
  • 高圧ガスができるため、保安上の注意が必要

2-2.吸収式冷凍機(水‐臭化リチウム吸収式冷凍機)

吸収式冷凍機は、吸収力が高い液体に冷媒を吸収させます。その結果、発生する低圧で別の場所の冷媒を気化し、低温にする冷凍機です。空調用は、水‐臭化リチウム吸収式冷凍機が利用されています。

<長所>

  • 本体の運転に資格は不要
  • 消費電力が少ない
  • フロン類を使用しない

<短所>

  • 定期点検が煩雑になる 
  • 蒸気圧縮冷凍機に比べて排熱量が多く、大型の冷却塔が必要
  • 蒸気圧縮冷凍機に比べて内部の熱量が大きく、起動に時間がかかる

2-3.アンモニア吸収冷凍機 

アンモニア吸収冷凍機は、冷媒にアンモニア、吸収液に水を利用した吸収式冷凍機です。利用されているのは冷凍用。水‐臭化リチウム式冷凍機と比べた場合、次のような特徴があります。

<長所>

  • ₋60℃まで冷却できる
  • 空冷化が容易にできる

<短所>

  • 圧力容器としての規制を受ける
  • アンモニアは有害物質なので、漏えい時の除害装置が必要
  • 空調用での効率はやや落ちる

2-4.吸着冷凍

シリカゲルなどの多孔質材料が、水蒸気やガスを吸着する現象を利用した方式です。冷媒を蒸発器により低温で蒸発させ、吸着材を冷却しながら冷媒蒸気を吸着させることで、低い圧力を得ます。冷媒を吸収した吸着材は、配管を切り替えて、熱を加えることで冷媒と分離。冷媒は、凝縮器で冷却・液化され、再び使用します。
冷媒に一般的に使われているのは水です。主な用途は、低温排熱を利用した冷水製造。吸収式冷凍機と比較すると、特徴があります。

<長所>

  • より低温の排熱利用が可能
  • 塩類を使わないため、有害な防蝕(ぼうしょく)材が不要
  • 点検の期間を長くできる
  • 圧縮機がないため電力使用量が少ない

<短所>

  • COPが1以下と低く、圧縮冷凍機に比べて低い

3.冷凍機械責任者

冷凍にかかわる高圧ガスを製造する施設では、保安の業務を担う国家資格が必要になります。冷凍機械責任者の資格です。高圧ガス保安法に規定された「高圧ガス製造保安責任者」の資格区分の1つ。第一種から第三種までの3種類がり、次のような職務の範囲になっています。

  • 第一種冷凍機械責任者:すべての製造施設にかかわる保安
  • 第二種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が300t未満の製造施設の製造にかかわる保安
  • 第三種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が100t未満の製造施設の製造にかかわる保安

冷凍設備をもつ会社にとって、冷凍機械責任者は、なくてはならない資格です。一定規模以上の冷凍設備がある事業所は、冷凍機械責任者の資格者の中から、冷凍保安責任者を選任し、都道府県知事に届けなければなりません。
第三種冷凍機械責任者については、講習会や講座がありますから、参加するのが資格取得の早道です。

まとめ

わかっているようで、実はよくわからない冷凍機の種類や特徴をまとめました。
今回は、

  • 蒸気圧縮冷凍機
  • 吸収式冷凍機(水‐臭化リチウム吸収式冷凍機)
  • アンモニア吸収冷凍機
  • 吸着冷凍

の4つを紹介しています。
冷凍機械責任者をめざす方だけでなく、冷凍設備がある会社に働く方にも、ぜひとも知っていただきたいものです。

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