ガス工作物とは? 定義や関連する資格などについて徹底解説!
2018/03/29
ガス工作物とは、一般家庭で使われる燃料ガスの製造から供給までに関わる設備の総称です。取り扱いや設置を間違えると大事故につながる恐れがあるので、ガス事業法という法令で技術基準が定められています。また、ガス工作物を保安したり整備点検をしたりする場合は、資格が必要です。ガスに関わる仕事をしている人の中には、ガス工作物を取り扱うことのできる資格取得を目指している人も多いことでしょう。
そこで、今回はガス工作物やそれに関わる資格について解説します。
この記事を読めば、資格を取得する方法や勉強のコツなどもよくわかります。ガス関係の仕事に就いている人や、資格取得を目ざしている人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.ガス工作物の基礎知識
まずはじめに、ガス工作物の定義やそれに関する法律について解説します。
1-1.ガス工作物の定義
前述したように、ガス工作物とは、一般家庭で使われる燃料ガスの製造から供給までに関わる設備です。もう少し詳しく説明しましょう。ガス事業法の第十二条ではガス工作物は、「ガス供給のために施設するガス発生設備・ガスホルダー・ガス精製設備などの工作物で、ガス事業の用に供するもの」と定めています。つまり、ガスを製造する設備からガスをためておく貯蔵所・輸送管など、すべてがガス工作物です。ガス工作物の出発点がガス発生設備なら、終着点は住宅などにあるガス栓になります。そこから先で使用するガス機器は、ガス工作物ではありません。
1-2.ガス工作物の管理責任
ガス工作物は、ガス事業者(都市ガス会社やプロパンガスの会社)に管理や保安の責任があります。前述したように、ガス工作物は取り扱い方や工事方法を間違えたりいい加減に行ったりすると、大事故になる可能性の高いものです。そこで、「ガス工作物の技術上の基準を定める省令」等により、ガス事業者にガス工作物を省令で定める技術基準に適合するよう維持することを義務づけています。
1-3.ガス工作物の規制について
経済産業省では、法律や省令のほか、ガス事業者に保安規定の届け出やガス主任技術者の選任を義務づけたりすることで、ガス保安を行っています。また、特に重要な特定ガス工作物の工事などは、事前の届け出が必要です。特定ガス工作物とは、ガス工作物の中で、特定ガス発生設備など特に定められたものを指します。さらに、自主的な定期検査をガス事業者に求め、立ち入り検査も実施するのです。なお、立ち入り検査の結果、省令や法令に適応していないと判断された場合は、改善命令が出されます。このように、ガス工作物の保安と管理はガス事業者に一任されているのではなく、幾重にもチェック機能を設けることで事故を未然に防ぐ努力が行われているのです。
2.ガス工作物に関する資格について
この項では、ガス工作物に関する資格について解説します。
2-1.ガス工作物に関する資格
ガス工作物に関する資格には、ガス主任技術者があります。前述したように、ガス配管工事などのガス工作物工事の運用や、保安監督・整備点検が主な仕事です。また、無資格者でも主任技術者の監督下の元ではガス工作物の工事を行うことができます。ガス事業を一生の仕事とするならば、ぜひ取得したいものです。
2-2.ガス主任技術者の種類
ガス主任技術者の種類には、以下のようなものがあります。
- 甲種:ガス工作物の工事・維持及び運用
- 乙種:最高使用圧力が中圧及び低圧のガス工作物の工事、特定ガス発生設備等に係るガス工作物等の工事、維持及び運用
- 丙種:特定ガス発生設備に係るガス工作物の工事、維持及び運用
上位の資格区分ほど大規模なガス工作物の保安監督業務に関わることができるでしょう。
2-3.ほかのガス関係の資格との違い
ガスに関する資格には、高圧ガス保安責任や液化石油ガス整備士・内管施工士といったものがあります。高圧ガス保安責任者は、石油コンビナートなどの高圧ガス製造事業所において、高圧ガス製造に関わる保安の統括的な業務が可能な資格です。液化ガス整備士や内管施工士は、給湯器などガス管とガス機器を接続して使うガス機器を設置することができます。どの資格も、ガス工作物の保安監督はできません。ガスに関わる仕事をできるだけ多く行いたい場合は、ガス主任技術者以外の資格にもチャレンジしてみましょう。
2-4.ガス主任技術者の将来性
ガスは電気・水道共にライフラインの1つです。そのため、ガス工作物に関する仕事がなくなることはないでしょう。資格と経験があれば、転職にも有利です。将来性のある資格といえます。
3.ガス主任技術者の資格取得方法
この項では、ガス主任技術者の資格取得方法や勉強のコツを解説します。
3-1.資格取得方法
ガス主任技術者の資格は、日本ガス機器検査協会が主催する試験を受けて合格すれば取得できます。受験資格は定められていません。国籍・年齢・性別に関係なく受験可能です。
試験科目は、
- 法令
- 基礎
- ガス技術(製造・供給・消費)
の3科目の択一式問題と、法令とガス技術の論述問題の計5科目が出題されます。資格区分に関わらず、科目数は同じです。択一式問題は、300点中180点以上の得点で合格、論述問題は70点中20点以上で合格になります。ただし、法令は25点、基礎は15点、ガス技術は30点以下ならばその時点で不合格です。科目合格はありません。
3-2.合格率
ガス主任技術者の合格率は、平成29年度の合格率は、甲種16.2%・乙種16.5%・丙種25%です。どの資格区分も30%以下なので、一夜漬けの勉強で合格できるものではありません。特に、甲種は計画的で効率のよい勉強方法を行わなければ、一発合格は難しいでしょう。
3-3.受験の申し込み方法など
ガス主任技術者の試験日は、毎年9月です。すべての種類が同じ試験日で行われますので、甲種と乙種の同時受験といったことはできません。注意しましょう。4月下旬に日本ガス機器検査協会から願書の入手方法などが発表されますので、ホームページをチェックしてください。試験は全国10か所程度で行われ、受験料は12,700円です。遠方の人は宿泊地も確保しておきましょう。
4.ガス工作物やガス主任技術者に関するよくある質問
Q.ガス工作物の中で、個人が取り扱えるものはありますか?
A.ガス栓ならば、パッキンの交換くらいは可能です。なお、前述したようにガス機器はガス工作物には含まれません。
Q.屋内にガス管を伸ばす工事は、ガス主任技術者は行うことができますか?
A.はい。ガス主任技術者は行うことは可能です。
Q.ガス主任技術者の試験は、いきなり甲種を受けても問題ありませんか?
A.はい。大丈夫です。
Q.ガス主任技術者の乙種を取得している人が甲種に挑戦する場合、試験科目の免除はありますか?
A.いいえ。ありません。
Q.ガス主任技術者の合格発表はいつですか?
A.毎年12月に行われます。日本ガス機器検査協会のホームページから確認可能です。
おわりに
今回はガス工作物の定義やガス主任技術者について解説しました。ガス主任技術者を取得すれば、転職にも有利です。ガスに関する仕事をしている人は、ぜひ取得を目指してみましょう。
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