高圧ガス保安業務に関わる資格を取るには? 試験内容などを解説
2017/03/06
高圧ガスとは、0.21MPau以上で高圧ガスとなるアセチレンガスを除き、常用の温度で1MPa(約10気圧)以上のガスなどを指します。このようなガスを製造する場所には「高圧ガス製造保安責任者」という資格を持った方を保安のために選任しなくてはなりません。資格を取得すれば、高圧ガスを製造する現場はもちろんのこと、販売所や高圧ガスを使った機器を設置してある施設でも保安業務を行うことができます。
そこで、今回は高圧ガスを取り扱うために必要な資格についてご紹介しましょう。
この記事を読めば、高圧ガスを取り扱ったり保安したりするにはどのような資格が必要なのか、よく分かります。高圧ガス保安責任者の資格を取得したいと考えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.高圧ガスとは?
高圧ガスとは、前述したように
- 常用の温度で1MPa(約10気圧)以上になるガス
- 0.2MPa以上のアセチレンガス
- 35度を超えると1MPa以上になるガス
- 常温の状態で0.2MPa以上であるか、35度以下で0.2MPaになる液化ガス
などが上げられます。これらのガスは高圧ガス保安法によって「高圧ガス」と定められているのです。高圧ガスを製造・移送・貯蔵・販売などを行う場合は高圧ガス保安法の適用を受け、高圧ガス製造保安責任者などが保安業務を行わなければなりません。
なお、高圧ガスは可燃性のものも多いのですが、高圧ガス保安法によって取り扱い方法や保管方法が定められているので、危険物には該当しないのです。したがって、危険物取扱者の資格では高圧ガスを取り扱ったりすることはできませんので注意しましょう。
2.高圧ガスの保安業務にかかわる資格について
この項では、高圧ガスの保安業務を行うことのできる資格についてご紹介します。どのような資格があるのでしょうか?
2-1.高圧ガス製造保安責任者
高圧ガス保安責任者とは、高圧ガス製造所の保安を行うことができる資格です。また、冷凍にかかわる高圧ガスの製造施設に関する保安を行うことのできる、冷凍機械責任者も、高圧ガス製造保安責任者の一部になります。
高圧ガス製造保安責任者には、
- 甲種(機械・化学)
- 乙種(化学・機械)
- 丙種化学(液化石油ガス・特別試験科目)
があり、資格ごとに保安技術管理者・保安主任者・保安係員になることができる施設が異なるのです。詳しい職務範囲につきましては、高圧ガス保安協会の該当ページを確認してください。
石油化学コンビナートや高圧ガス製造事業所で保安監督の職務に就きたい方は取得が必要です。
2-2.冷凍機械責任者
冷凍機械責任者は、冷凍・冷蔵・空調設備を備えている施設において、機械の保安業務を行うことができます。高圧ガス製造保安責任者の一種ですが、扱えるのは冷凍空調機器・冷凍庫・冷蔵庫など冷凍にかかわる高圧ガスを製造する機械の保安業務に限られているのです。
冷凍機械責任者には
- 第一種 すべての冷凍空調機・冷凍庫・冷蔵庫などの保安業務を行える
- 第二種 1日の冷凍能力が300t未満の冷凍空調機・冷凍庫・冷蔵庫などの保安業務を行える
- 第三種 1日の冷凍能力が100t未満の冷凍空調機・冷凍庫・冷蔵庫などの保安業務を行える
の3種類があります。
冷凍機械責任者の資格を取得すると、大型冷蔵庫や冷凍庫を持っている工場や会社、さらに大型空調設備を備えているビルなどで保安業務を行うことが可能です。
2-3.高圧ガス販売主任者
高圧ガス販売主任者とは、高圧ガスを販売する場所で保安管理を行うことのできる資格です。第一種と第二種があり、第二種は家庭などで使うLPガスだけ、保安管理業務が行えます。第一種になると販売可能なすべての高圧ガスの保安管理が可能です。
2-4.液化石油ガス設備士
液化石油ガス整備士は、液化石油ガスの設備工事の安全確保を行うことのできる資格です。この資格がないと、液化石油ガス(LPガス)を新たに通す工事は行えません。試験を受ける他、配管工事やLPガス設備工事の経験が1年以上ある方を対象とした講習を受ければ、資格取得ができます。なお、未経験者向けの講習も以前は行われていましたが、現在は行われていません。
2-5.資格を取得するメリット
高圧ガスに関する資格を取得しておけば、ガスの配管工事や高圧ガスを製造している石油コンビナートなどで保安業務を行うことができます。高圧ガスに関する資格は、受験資格が定められていません。ですから、性別・年齢・国籍にかかわらず試験にチャレンジすることができます。全く畑違いの分野から、高圧ガスを取り扱う仕事に転職をしたいと思った場合、まずは資格を取得すると有利でしょう。
また、冷凍機械責任者の資格を取得しておくと空調設備の保安業務を行えることから、ビルメンテナンス業界に就職や転職する際にも役立ちます。転職や就職の幅を広げるために資格を取得したい場合は、高圧ガス製造保安責任者の資格取得を目指すとよいでしょう。
3.高圧ガス製造保安責任者の資格を取得する方法や勉強法
この項では、高圧ガス製造保安責任者の試験内容や申し込み方法、さらに勉強方法のコツなどをご紹介します。受験を考えている方は、参考にしてください。
3-1.高圧ガス製造保安責任者の試験とは?
高圧ガス製造保安責任者の試験は、
- 法令
- 保安管理技術
- 学識
の3種類からなります。種類によって出題範囲が異なりますので、科目が同じでも問われる内容はだいぶ異なるでしょう。第三種冷凍機械責任者の試験のみ、法令と保安管理技術の2科目になります。高圧ガス製造保安責任者甲種と第一種冷凍機械責任者は、学識が記述式になりますが、他はすべて択一式です。
足切点はなく、全科目6割以上の得点で合格となります。合格率は、平均して35%~55%ほどですから国家資格の中では高い方です。とはいえ、全く勉強せずにヤマカンで乗り切れるほど簡単な試験ではありません。しっかりと勉強をしてのぞみましょう。
3-2.試験の申し込み方法や試験免除について
高圧ガス製造保安責任者の試験は、高圧ガス保安協会が主催しています。試験の申し込みや試験費用の確認もホームページ上で可能です。なお、高圧ガス保安責任者の試験は、特定の資格を取得していたり講習を修了していたりすれば、試験の一部が免除になるので、必ずホームページで確認してください。例えば、甲種機械を取得している方の場合は、甲種化学の講習を修了すれば無試験で甲種化学の資格が取得できます。資格の種類が多いので、間違えないようにしましょう。
試験は毎年1回11月に行われます。高圧ガス保安責任者甲種(機械・化学)と第一種冷凍機械責任者の資格は、経済産業局単位で行われるため、東京や大阪など日本各地の主要都市でしか開催されません。開催地から遠方に住んでいる方は、宿泊場所なども確保しておきましょう。これ以外の試験は、全都道府県65か所で開催されます。高圧ガス保安責任者乙種や第二種冷凍機械責任者を取得しており、上位の資格を目指すという方は注意しましょう。
試験の申し込みは毎年8月くらいから受け付けていますので、チャレンジを考えている方は、早めにホームページを確認しておいてください。
3-3.勉強方法のコツ
高圧ガス製造保安責任者や冷凍機械責任者の試験勉強は、独学か通信教材を利用する方法が一般的です。高圧ガス保安協会から過去問題集やテキストがセット販売されていますので、それを購入して勉強するのも一つの方法でしょう。なお、計算問題が出ますので、過去問をくり返し解いて計算に慣れておくことが大切です。難易度は、甲種が最も高く、続いて乙・丙と続きます。冷凍機械責任者は数字が若い方が難しくなっているのです。全く知識がない状態からチャレンジする場合、まずは難易度の低い資格を取得し、ステップアップしていってもよいでしょう。
4.高圧ガスにかかわる資格についてのよくある質問
Q.高圧ガス製造保安責任者の資格は種類がたくさんあって、どれにチャレンジしてよいか迷います。
A.高圧ガス製造保安責任者の資格は、6種類ありますが、そのすべてを取得する必要はありません。転職や就職を希望している先に必要な資格を取得しましょう。
Q.冷凍機械責任者は、冷凍にかかわる高圧ガスを製造する機械の保安しかできないのですか?
A.はい、冷凍機械専門の資格になります。
Q.LPガスを販売する仕事に就きたい場合にも、高圧ガス製造保安責任者を取得しておいた方がよいでしょうか?
A.まずは、高圧ガス販売主任者の資格を取得し、余裕があったらチャレンジしてみてもよいですね
Q.無資格でも高圧ガスを取り扱っている職場で働くことは可能でしょうか?
A.可能ですが、できる仕事は限られます。
Q.ビルメン業界に就職したい場合、冷凍機械責任者は第何種を取得すればよいですか?
A.第三種の資格を取得すれば、空調機械の保安業務はできます。
おわりに
今回は高圧ガスの取り扱いや保安業務に関する資格や試験についてご紹介しました。どの資格も受験資格は定められていませんので、チャレンジしやすいでしょう。電気や機械に関する知識を持っている方や、理系の大学を出ている方などにもおすすめの資格です。機会があれば、ぜひ試験にチャレンジしてみてください。
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