【重要】スプリンクラーの設置基準は? 消防設備士試験のポイント解説
2016/10/14
防災意識が高まっている現在、防災系の資格は非常に役立ちます。就職活動をするにあたって、最も有利な資格の1つといっても過言ではありません。
災害にもさまざまな種類がありますが、特に身近な災害は火災です。そこで、こちらでは火災予防に役立つ消火用スプリンクラーの基礎知識を解説することにしました。
火災予防に携わる人気資格−消防設備士(第一類)を取得するには、消火用スプリンクラーの知識が不可欠です。こちらのページを読めば、スプリンクラーの仕組みや設置基準があっさりと頭に入ること間違いなし!
1.スプリンクラーの設置基準~消防設備の基本
消防用スプリンクラーは、火災発生時に水を撒(ま)いて鎮火するための設備です。基本的には火災発生時、自動的に反応して消火を開始します。小火(ぼや)が本格的な火災に発展する前に鎮火するという方向性なので、初期消火を図る設備と考えてください。
防災設備の中では“設置費用が高額”というネックがあるものの、初期消火の効果が高いので、多くの施設に設置されています。スプリンクラー1~3個ほどで十分に鎮火できるため、防災効果は抜群です。
実際、消防法でもスプリンクラー設備の設置基準が定められています。こちらでは、スプリンクラーの設置基準について解説することにしましょう。
1-1.消防法におけるスプリンクラー設置基準
スプリンクラーの設置基準は非常に複雑なので、ここではある程度、簡略化して解説することにします。まず、こちらで概要を理解してください。その上で、詳細に調べるのなら“消火設備設置基準の一覧表”を確認しましょう。最初に概要を把握しておけば、一覧表の内容を理解することも可能です。最初から1から10まで覚えようとせず、だいたいのルールを頭に入れるようにしてください。
1-2.スプリンクラーの設置基準が定められている施設とは?
消火設備にはスプリンクラーのほか、消火器具、屋内消火栓などが存在します。消火器具の設置だけで十分な施設なら、スプリンクラーを設置する必要はありません。何も、すべての施設にスプリンクラーの設置義務が課されているわけではないのです。
スプリンクラーの設置基準が定められているのは、主に以下のような施設になります。
- 映画館・劇場などの会場施設
- 集会場・公会堂などの集会施設
- キャバレー・ナイトクラブなど歓楽施設
- ダンスホール・カラオケなど娯楽施設
- 飲食店
- デパート・スーパーなどの店舗
- ホテル・旅館などの宿泊施設
- 病院・診療所などの医療機関
- 老人ホーム・養護施設などの福祉施設
- 幼稚園・養護学校など災害時の避難に不安がある人を対象とした教育機関
- サウナなどの蒸気浴場・熱気浴場を有する公衆浴場
- 地下街
- 地上11階以上の階層にある商業施設・公共施設・事務所・集合住宅など
ただし、上記に該当する施設だからといって、必ずしもスプリンクラーの設置義務があるとは限りません。床面積、階層など、さまざまな条件によって設置義務の有無が決まるからです。
1-3.スプリンクラー設置基準は階層によって異なる!
次に頭に入れておくことは、階層ごとの基準です。スプリンクラー設備の設置基準を定めているのは消防法施行令第12条ですが、階層によって基準が大きく異なっています。階層の分類は大きく4つに分けられているので、まずは以下の4分類を頭に入れてください。
1-3-1.11階以上の高層階
地上階だけで11階建て以上の高層建造物において、11階以上の階には必ずスプリンクラーを設置しなければなりません。高層階で火災が発生した場合、建物の外に避難することが困難です。何としても、小火(ぼや)の段階で初期消火することが求められます。
1-3-2.4階から10階までの中層階
地上4階から10階までの階を中層階と考えてください。中層階は、“どんな用途で用いられている建造物なのか”によって、スプリンクラー設置義務の有無が変わってきます。
建造物の種類による違いは後述するので、今は4~10階が中層階であることだけ理解しておいてください。
1-3-3.地下または無窓階
地下1階、地下2階といった地下の階です。ただし、窓がまったくないフロアは、地上であっても地下と同じ扱いになります。重要なのは“地下であること”ではなく、“窓がないこと”だからです。火災発生時、窓がないフロアには煙がこもりやすくなります。また、窓から避難することもできません。たとえば、地上5階や6階なら飛び降りることはできませんが、はしご車による救助は可能です。窓がないフロアは、はしご車による救助もできません。
要するに、地下・無窓階は火災発生の危険性が高いわけです。そのため、スプリンクラーの設置義務がやや厳格になっています。地下・無窓階の場合、原則として床面積1,000平米以上ならスプリンクラーの設置義務があると覚えてください。
1-3-4.1階から3階までの一般階
地上1階から3階までの階層は一般階です。一般階は“どんな用途で用いられている建造物なのか”によって、スプリンクラーを設置するかどうかが異なってきます。
建造物の用途による違いは後述しますので、現段階では1~3階が一般階であることを理解してください。
1-4.スプリンクラー設置基準は施設の種類によって違う!
建物の用途によって、スプリンクラーの設置基準は異なります。ここでは、用途ごとの違いを解説することにしましょう。もちろん、階層ごとにスプリンクラー設置基準は変わってきます。ここまでに解説した階層の名称を思い出しながら、読んでください。
1-4-1.会場施設・集会施設・飲食店・公衆浴場
まずは、映画館・劇場などの会場施設、集会場・公会堂などの集会施設、飲食店、そしてサウナなどを有する公衆浴場です。以上の施設に関しては、次のような設置基準が定められています。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,500平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
注意するべきなのは、最後の項目です。11階建て以上になっている場合、建物の全フロアにスプリンクラー設置義務が生じます。11階以上の高層階だけに設置すれば良いというわけではありません。
1-4-2.歓楽施設・娯楽施設
次に、キャバレー・ナイトクラブなどの歓楽施設、ダンスホール・カラオケなどの娯楽施設です。以上の施設では、次のような設置基準が定められています。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,000平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
歓楽施設や娯楽施設の場合、中層階の設置基準がやや厳しくなります。また、11階建て以上の場合には、建物全体にスプリンクラー設置義務が生じるルールになっているので注意が必要です。
1-4-3.店舗
デパート・スーパーなど店舗型の商業施設では、以下のような設置基準が定められています。
- 床面積3,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,000平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
店舗の場合、一般階の設置基準が非常に厳しくなっています。ほかの施設と比べて、半分の床面積でもスプリンクラーを設置しなければなりません。また、11階建て以上の場合には建物の全階層にスプリンクラーが必要です。
1-4-4.医療機関
病院・診療所などの医療機関は少し複雑です。医療機関の種類によって、スプリンクラーの設置基準が異なります。
1-4-4-1.特定診療科を有する有床医療機関の場合
特定診療科を有する有床医療機関とは、整形外科・リハビリテーション科・内科など特定の診療科を設置しており、4人以上の入院設備を持っている医療機関のことです。該当する医療機関の場合、階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。
入院患者がいて、さらに避難の困難な患者が多い医療機関であれば、火災の初期消火は絶対条件です。延焼してしまえば、避難に手間取っている間に多くの犠牲者が出るでしょう。全フロアにスプリンクラー設置義務があるのは、当然といえます。
1-4-4-2.特定診療科を有しない有床医療機関の場合
入院設備を持っている医療機関でも、特定診療科を設置していない場合は設置基準が緩くなります。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,500平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
ただし、平屋建ての場合は6,000平米以上であってもスプリンクラーの設置義務がありません。
1-4-4-3.無床診療所の場合
無床診療所というのは、入院設備を持たない医療機関のことです。無床診療所の場合、以下のような設置基準が定められています。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,500平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
無床診療所の場合、入院患者がいません。そのため、スプリンクラーの設置基準は通常の集会施設などと同様になります。
1-4-5.福祉施設
老人ホーム・養護施設などの福祉施設についても、複雑な区分が存在します。福祉施設の種類によって、スプリンクラーの設置基準が異なるのです。
1-4-5-1.老人・乳児を対象とする福祉施設の場合
老人ホーム、乳児院などの施設を指しています。火災発生時に自力で避難できない人々がいる施設ですから、当然、スプリンクラーの設置基準は通常と比べて厳格です。階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。
ただし、老人を対象とする施設については、“要介護者が含まれる施設”に限られるので注意してください。
1-4-5-2.特定の救護施設・障害児施設・障害者施設の場合
“特定の”という表現は、入所者のだいたい8割以上が“介助がなければ避難できない者”である場合を指しています。避難に困難を伴いますから、当然、スプリンクラーの設置基準は厳格です。階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。
1-4-5-3.一般の救護施設・障害児施設・障害者施設の場合
“介助がなければ避難できない者”の割合が8割未満の施設であれば、スプリンクラーの設置基準はやや緩くなります。床面積が275平米以上のフロアだけにスプリンクラーを設置すればOKです。
1-4-5-4.簡易な福祉施設の場合
福祉施設のうち、老人デイサービス、保育所といった施設はそれほど厳しい基準になっていません。次のような設置基準が定められています。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,500平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
原則として入所や宿泊を伴わないため、一般的な集会施設と同じ基準になっています。
1-4-6.幼稚園・養護学校
教育機関のうち、幼稚園と養護学校(特別支援学校)にはスプリンクラーの設置基準が存在します。
- 床面積6,000平米以上の一般階
- 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
- 床面積1,500平米以上の中層階
- 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア
通常の教育機関は11階以上の高層階だけに設置すれば良いことになっています。しかし、幼稚園・養護学校は避難が困難な幼児・生徒を教育する機関です。通常より厳格な基準が適用されるのは当然でしょう。
1-4-7.地下街
地下街に関しては、延べ面積1,000平米以上の場合にスプリンクラーの設置が義務づけられています。窓がなく、避難経路が限られるため、地上より厳格な基準になっているのです。
1-4-8.11階以上の高層階
上述した施設ではなくても、原則、11階以上の高層階に関してはスプリンクラーの設置が義務づけられています。11階以上になると、はしご車による避難も困難でしょう。避難経路が限られるため、火災発生時には何としても初期消火しなくてはなりません。
1-5.スプリンクラー設置基準に関する届け出はどうするの?
これまで解説したように、建造物の用途・階層に応じてスプリンクラー設置基準が決まっています。建築物を建てる際には、地域の消防署に届け出を行い、ルールに適合する防火設備を設置する必要があるのです。
また、一部の地方公共団体では、消防法より厳格な基準を定めている場合があります。建築物を建てるときには消防法だけでなく、地方公共団体の条例も確認する必要があるのです。
もちろん、各種例外なども存在しますから、上記はあくまでも原則的な例に過ぎません。原則を頭に入れた上で“消火設備設置基準の一覧表”を参照し、同時に地方公共団体の条例もチェックする。スプリンクラー設置義務の有無を確認する手順は、非常に複雑です。
2.スプリンクラーの種類をチェック~設置基準との関連は?
消火用のスプリンクラーにはいくつかの種類が存在しています。こちらでは、スプリンクラーヘッドの種類に応じた分類を解説することにしましょう。
もちろん、スプリンクラーヘッドの種類によって“設置場所の制約”が生じる場合もあります。設置基準との関連も含めて解説していますので、確認してみてください。
2-1.閉鎖型スプリンクラーヘッド
閉鎖型スプリンクラーヘッドは、散水口が閉鎖された構造です。散水口の覆い方で細分化されますが、一般には、以下の2タイプが知られています。
- 熱が加わると溶ける合金(ヒュージブルリンク)
- 熱が加わると気化・膨張する揮発性の液体が入ったガラス球
火災が発生すると、当然、スプリンクラーヘッドに熱が加わるはずです。火災の熱で散水口を覆っている合金が溶ける。あるいは、揮発性液体の入ったガラス球が破裂することで、散水口が開くわけです。
散水口が開放されると、自動的に流水がはじまります。いったん散水がはじまると、自動的には止まりません。蛇口が開きっぱなしになっているようなものです。消火したら、手動で制御弁を閉じなければなりません。
さて、閉鎖型スプリンクラーヘッドは、火災の熱によって作動します。そのため、天井が高すぎると火災が発生してもなかなか作動しません。高天井の施設では、初期消火の役割を果たさないのです。以上から、閉鎖型スプリンクラーヘッドの設置場所は、天井が10メーター以下の部分に限られます。(店舗など物販目的の施設では6メーター以下というルール)
また、スプリンクラーの散水を妨害するような障害物があると、消火効果は大幅に減少します。当然、スプリンクラーの設置場所に障害物などが存在してはいけません。
2-2.予作動式スプリンクラーヘッド
厳密には、閉鎖型スプリンクラーヘッドのバリエーションです。通常の閉鎖型スプリンクラーヘッドは、ヘッド部分の覆いが破損することで作動開始します。つまり、火災以外の要因で誤作動することがあるわけです。特に“揮発性液体の入ったガラス球”を利用している場合、物理的な破損が起こる恐れもあるでしょう。閉鎖型のヘッドは、火災と破損を区別できません。物理的な破損でも、散水を開始します。実際、過去には地震によるヘッド破損でスプリンクラーが誤作動し、水損が多発するといった問題も起きました。
普通の施設ならまだしも、コンピュータールームなどの設備でスプリンクラーが誤作動を起こしては困ります。そこで、火災報知器からの信号を受信するまで作動しない予作動式スプリンクラーヘッドの需要が生まれたわけです。
予作動式のヘッドは、ヘッドの覆いが破損することに加え、火災報知器から信号が送られるという2条件が揃(そろ)ってから作動します。電子機器の多いフロアでは、予作動式のほうが安心でしょう。
2-3.開放型スプリンクラーヘッド
開放型スプリンクラーヘッドは、散水口が常に解放されているものです。閉鎖型のヘッドは、熱による破損が起こるまで作動しません。つまり、初期消火の中では作動開始がやや遅い部類です。そのため、急速な延焼が予想される場所では、より作動開始の早いスプリンクラーが必要になります。
開放型のスプリンクラーヘッドは火災感知器・火災報知器とセットで用いるのが特徴です。火災感知器が作動すると、開放型スプリンクラーヘッドは即座に放水を開始します。火災感知器の精度が高ければ、ごく初期の段階で鎮火することが可能なのです。
また、開放型のスプリンクラーヘッドは、手動での起動が可能になっています。誰かが火災発生に気づいた場合、手動起動弁を操作すれば放水開始。火災感知器でも、人間でも、いちはやく火災に気づいたほうがスプリンクラーを起動できるわけです。倉庫、劇場舞台、化学工場など、延焼リスクの高い施設が主な設置場所になります。
2-4.放水型スプリンクラーヘッド
10メーターを超える高天井の部分では、放水型スプリンクラーヘッドを用います。火災感知器からの信号を受けて作動するため、開放型ヘッドに類似した機構と考えてください。
ただ、センサーで火災の発生場所を検知し、自動的に火災箇所に狙いを定めて放水するなど、よりシステマティックな初期消火を行います。可動式のヘッドなら、火災箇所まで移動して放水することも可能。可動式ヘッドの場合、見た目は放水銃のようになっています。
火災感知器からの信号だけでなく、手動操作による起動も可能です。自動・手動の双方から起動できることも開放型ヘッドと同様なので、開放型ヘッドがより高度になったものと捉えて構わないでしょう。
ちなみに、水が溜(た)まって避難の妨げにならないよう、放水型スプリンクラーヘッドの設置箇所には排水設備を設けることが義務づけられています。
3.消防設備に関する資格にはどんなものがある?
消防設備の代表的な資格は消防設備士でしょう。消防設備の工事・整備・点検を行うためには消防設備士の資格が必要です。当然、スプリンクラーは消防設備ですから、工事・整備・点検には消防設備士の資格を要します。
こちらでは、消防設備士に代表される消防系資格に関する基礎知識をまとめることにしましょう。
3-1.消防設備士はどんな資格なの?
消防設備士は都道府県知事が管轄する国家資格です。甲種第一類~第五類、甲種特類、乙種第一類~第七類、13区分に分かれています。こちらでは、それぞれの区分について簡単にまとめることにしましょう。まず、甲種と乙種の違いから解説します。
- 甲種:消防用設備の工事・整備・点検が可能な資格
- 乙種:消防用設備の整備・点検が可能な資格
甲種は上位資格であり、工事・整備・点検のすべてが認められます。乙種は下位資格に相当するため、工事をすることはできません。次に、第一類などの区分を確認します。
- 第一類:スプリンクラー・屋内消火栓・屋外消火栓・水噴霧消火設備
- 第二類:泡消火設備
- 第三類:粉末消火設備・ガス消火設備
- 第四類:自動火災報知器などの報知設備
- 第五類:避難はしごなどの避難設備
- 第六類(乙種だけ):消火器
- 第七類(乙種だけ):漏電火災警報器
- 特類(甲種だけ):特殊消防用設備など
第六類と第七類は乙種しか存在しません。まず、第六類の専門分野は消火器なので、設置に工事は不要です。次に第七類の専門分野は漏電火災報知器ですが、設置工事には電気工事士の資格が必要になります。そのため、工事を実施するための甲種資格が不要なのです。
さて、こちらのページで解説したスプリンクラーは第一類の専門分野になります。スプリンクラーの設置工事・整備・点検を行うには甲種第一類、整備・点検に行うには乙種第一類の資格が必要です。
3-1-1.消防設備士国家試験の受験資格
国家試験には誰でも受験できるものと、受験資格が存在するものがあります。消防設備士国家試験は甲種か乙種かによって異なり、甲種の場合は受験資格を満たさなくてはいけません。
3-1-1-1.消防設備士甲種の受験資格
受験資格は41項目にわたり非常に複雑なので、ここでは主な資格だけを掲載します。学歴基準、実務経験、資格基準があり、どれか1つを満たしていれば受験可能です。
- 機械・電気・土木・建築・工業化学に関する学科を卒業している
- 機械・電気・土木・建築・工業化学に関する授業を修了している
- 乙種消防設備士の免許があり、消防用設備の整備経験が2年以上
- 消防用設備の整備補助に関する実務経験が5年以上
- 技術士試験の2次試験合格者
- 電気工事士の免許がある
- 電気主任技術者(第1種~第3種)の免許がある
- 一級建築士または二級建築士の免許がある
- ガス主任技術者第4種の免許がある
- ほかの指定区分の甲種消防整備士である
最後の項目は、甲種第一類の消防整備士であれば、第二類や第三類を受験できるという意味です。ただし、特類を受験するには第一類、第二類、第三類のいずれかに加えて、第四類と第五類の資格を持っていなければなりません。つまり、最低でも3つの区分を取得しないと甲種特類は受験不可能なのです。
3-1-1-2.消防設備士乙種の受験資格
学歴や実務経験に関係なく、誰でも受験可能です。第一類~第七類までいずれも受験資格の設定はありません。
3-1-2.消防設備士国家試験の受験科目
消防設備士国家試験の受験科目は以下のように決められています。
《甲種第一類~第五類》
- 消防関係法令(15問)
- 業務関連の基礎知識(10問)
- 消防用設備の構造・機能・工事方法・整備方法(20問)
- 鑑別等の実技試験(5問)
- 製図の実技試験(2問)
《甲種特類》
- 消防関係法令(15問)
- 工事整備対象設備の構造・機能・工事方法・整備方法(15問)
- 工事整備対象設備の性能・火災・防火(15問)
《乙種第一類~第七類》
- 消防関係法令(10問)
- 業務関連の基礎知識(5問)
- 消防用設備の構造・機能・整備(15問)
- 鑑別等の実技試験(5問)
3-1-3.消防設備士国家試験の合格基準・合格率
消防設備士国家試験の合格基準は、筆記試験で60%の正解率、実技試験で60%の得点を取ることです。ただし、筆記試験で1科目でも40%を切っていると、全体の正解率に関係なく不合格となります。
公式に、合格率の数値データは出ていません。しかし、甲種が約30%、乙種が約40%と推定されています。きちんと受験勉強をしていれば、決して難しい試験ではありません。
3-1-4.消防設備士国家試験の試験勉強はどうすればいい?
消防設備士国家試験には1つ、重要な特色があります。試験問題の漏洩を防ぐ観点から、受験者に対して試験問題の持ち帰りを禁じているのです。そのため、過去問は一切、出回っていません。市販されている問題集はすべて予想問題集です。
となると、素人が自己判断で試験勉強をするのは難しいと言わざるを得ません。やはり、資格試験のプロに習うほうがいいでしょう。とはいえ、通学を伴う資格予備校などに通うのは困難だと思います。司法試験などと異なり、資格試験の勉強だけに時間を使えるわけではないはずです。以上から、第一選択は通信教育などを用いた自宅学習になります。
特におすすめなのは、e-ラーニングを用いた学習教材です。e-ラーニングは、インターネットを介した映像教材。自宅にいながら、講師が授業形式で解説するのを視聴することが可能になります。やはり、勉強するなら、人に解説してもらう形式が一番分かりやすいはずです。もちろん、スマートホン・タブレットを活用すれば、電車などの移動時間でも試験勉強ができます。
3-2.消防設備点検資格者ってどんな資格なの?
消防設備に関する国家資格は消防設備士だけではありません。ほかに消防設備点検資格者というものがあります。工事・整備に携わることはできず、点検だけに限定された資格です。簡単にいうなら、消防設備士の下位資格と捉えて構いません。
消防設備点検資格者は第1種、第2種、特種の3区分に分かれています。まずは各区分の違いを解説することにしましょう。
- 第1種:消火設備
- 第2種:火災報知設備・警報器・避難器具・避難誘導灯・排煙設備など
- 特種:特殊消防用設備
第1種と第2種の違いを簡単に説明すると、第1種は消火設備、第2種は消火設備以外ということになります。スプリンクラーは消火設備ですから、スプリンクラーの点検を行うのは第1種の資格者です。
3-2-1.消防設備点検資格者講習の受講資格
消防設備点検資格者の資格を得るには、講習を受講する必要があります。受講資格が存在するため、誰でも資格を得られるわけではありません。受講資格は15項目にわたりますので、以下では主な資格だけをピックアップして紹介したいと思います。
- 消防設備士の資格者
- 電気工事士の資格者
- 技術士の2次試験合格者
- 電気主任技術者(第1種~第3種)の資格者
- 消防用設備にかかわる仕事で5年以上の実務経験
- 消防行政にかかわる事務で1年以上の実務経験
- 建築行政にかかわる事務で2年以上の実務経験
- 大学または専門学校で機械・電気・土木・建築・工業化学に関する授業を修了し、1年以上の実務経験
- 高校で機械・電気・土木・建築・工業化学に関する授業を修了し、2年以上の実務経験
試験ではなく、講習による資格付与なので、少し受講資格が厳しくなっているように感じられます。
3-2-2.消防設備点検資格者講習の内容は?
受講料は31,800円で、資格講習は3日間です。3日間とも朝9時~夕方5時過ぎまでの約8時間となっています。最終日に修了考査と呼ばれる試験があり、合格すればOKです。授業内容をきちんと理解していれば、まず落ちる心配はありません。
まとめ
以上、スプリンクラーの設置基準、消防設備士の基礎知識でした!
スプリンクラーの仕組み、種類を理解しておくことは消防系資格を取得する上での基本です。
- スプリンクラーの設置基準~消防設備の基本
- スプリンクラーの種類をチェック~設置基準との関連は?
- 消防設備に関する資格にはどんなものがある?
消防設備士、消防設備点検資格者の資格を目指しているなら、こちらのページを読み返して、スプリンクラーの知識をまとめておきましょう。
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