1級建築施工管理技士の実地試験とは? 合格のためのポイントをチェック!

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1級建築施⼯管理技⼠や2級建築施工管理技士の資格を獲得したいと考えていても、実地試験の内容がよく分からずに悩んでいる方が多いようです。資格獲得を目指している方の多くは、仕事で必要になったという方がほとんどでしょう。できることなら、1発で合格して仕事をスムーズに進めたいところですよね。

そこで今回は、建築施工管理技士の実地試験について中心にご紹介します。

  1. 建築施工管理技士の基礎知識
  2. 建築施工管理技士の学科試験・実地試験について
  3. 2級建築施工管理技師の実地試験内容
  4. 1級建築施⼯管理技⼠の実地試験内容
  5. 建築施工管理技士の実地試験対策について
  6. 建築施工管理技士にまつわるQ&A
  7. 1級建築施工管理技士の実地試験まとめ

これらの記事を読むことで、建築施工管理技士の実地試験や学科試験など、基礎的な知識を得ることができます。実地試験の対策方法についてもご紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。


1.建築施工管理技士の基礎知識

1-1.建築施工管理技士とは?

建築施工管理技士は、建築工事などの現場で工事の進行について指揮、監督を行うことが可能な国家資格のことです。建築施工管理技士の資格は1級と2級にわかれており、1級は昭和59年、2級は昭和58年に制定されています。できる範囲が違いますので、資格を取得する際にはしっかりと把握しておくことが大切です。2級は主に中~小規模の工事にかかわることができます。これに対し、1級は高層ビルや高層マンション、公共施設などといった大規模工事にかかわることが可能です。

1-2.準拠する法律

建築施工管理技士は昭和24年に施行された『建築業法』に準拠しています。建設工事を適切に行い、発注者や建設業者を保護し、建設業が健全に発達促進することを目指している法律です。

1-3.建築施工管理技士の目的と必要性

工事現場はさまざまな会社が入り交じります。大規模になるとその傾向が顕著です。そのような状態で個々に工事を行うと、思わぬ事故やミスを引き起こしてしまいます。しかし、全体の工事を把握する人間を設置すれば、混乱を避けることが可能ですよね。また、何かしらトラブルが起きても、対処や指示をしやすくなります。このようなことから、建築施工管理技士は工事現場に必要不可欠といえるのです。

現場監督になるには、建築施工管理技士の資格が必要なんですね。
はい。建築業を一生の仕事にするならば、ぜひ取得しておきたい資格です。

2.建築施工管理技士の学科試験・実地試験について

2-1.建築施工管理技師の試験内容

建築施工管理技士の試験内容は、学科試験と実地試験に分けられます。学科試験は四肢択一マークシート方式です。合計で65問出題され、その中から40問を選択して解答します。合格の目安は24問以上の正解です。また、実地試験は記述式で5問が出題されます。

2-1-1.学科試験

  • 建築学等
  • 施工管理法
  • 法規

2-1-2.実地試験

  • 施工管理法

2-2.実地試験の出題形式について

実地試験は記述問題です。1級建築施⼯管理技⼠の実地試験では、過去に経験した工事概要などを簡潔かつ具体的に記述しなければいけません。そのため、ある程度の国語能力も必要となってきます。

2-3.実地試験、1級と2級の違い

1級の実地試験は建築施工管理の1科目だけです。しかし、2級の場合は、建築・躯体(くたい)・仕上げの3科目において試験を受けなければいけません。

2-4.2級建築施工管理技士の試験時間

  • 学科試験    10:15~12:45
  • 実地試験    14:15~16:15

2-5.1級建築施⼯管理技⼠の試験時間

  • 学科試験    10:00~12:20、(昼休み)12:20~13:15、13:30~15:40
  • 実地試験    13:00~16:00
科試験と実地試験があるんですね。
はい。学科試験に合格しなければ実地試験を受験することができません。まずは学科試験合格を目指しましょう。

3.2級建築施工管理技師の実地試験内容

3-1.受験資格

受験資格は以下のとおりです。

  • 大学の指定学科を卒業し、1年以上の実務経験を有する
  • 大学の指定学科以外を卒業し、1年6か月以上の実務経験を有する
  • 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業し、2年以上の実務経験を有する
  • 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科以外を卒業し3年以上の実務経を有する
  • 高等学校の指定学科を卒業し、3年以上の実務経験を有する
  • 高等学校の指定学科以外を卒業し、4年6か月以上の実務経験を有する
  • 8年以上の実務経験を有する
  • 職業能力開発促進法による技能検定に合格している

ただし、昨年の学科試験に合格していた場合は、学科に限り免除されます。

3-2.試験内容

前述したように、建築・躯体(くたい)・仕上げのそれぞれにおける、施工管理法の問題が出題されます。『建築』では施行管理法、『躯体(くたい)』では躯体(くたい)施工管理法、『仕上げ』では仕上施工管理法というようにです。

建築で出題される『施行管理法』は主に以下のような知識を求められます。

  • 建築材料の強度等を正確に把握し、目的物の強度や外観等を得るために必要な措置が可能な応用能力
  • 設計図書に基づいて適切な施工計画を作成し、施工図を適正に作成することが可能な応用能力

躯体(くたい)出題される『躯体(くたい)施工管理法』では、以下のような知識が必要です。

  • 基礎、躯体における建築材料の強度を把握して正確に計算し、目的物の所要強度等を得るために必要な措置が可能な高度の応用能力
  • 設計図書に基づいて、基礎、躯体に関係する施工計画を適切に作成し、施工図を適切に作成することが可能な高度の応用能力

仕上げで出題される『仕上施工管理法』では、以下のような知識が必要となります。

  • 仕上げにおける建築材料の強度等を正確に把握し、目的物の所要強度、外観等を得るために必要な措置が可能な高度の応用能力
  • 設計図書に基づいて仕上げに関係する施工計画を適切に作成し、施工図を適正に作成することが可能な高度の応用能力

3-3.合格率

学科試験の合格率は45~55%程度、実地試験は30~35%程度です。

2級建築施工管理技師の試験は、1級に比べると範囲が狭いんですね。
はい。その分、合格率も高くなっています。

4.1級建築施⼯管理技⼠の実地試験内容

4-1.実地試験の受験資格

1級建築施⼯管理技⼠では、以下のどちらかの受験資格を満たす必要があります。

4-1-1.指導監督的実務経験を1年以上含んでいる場合

  • 大学の指定学科を卒業し、3年以上の実務経験
  • 大学の指定学科以外を卒業し、4年6か月以上の実務経験
  • 短期大学、5年制高等専門学校の指定学科を卒業し、5年以上の実務経験
  • 短期大学、5年制高等専門の指定学科以外を卒業し、7年6か月以上の実務経験
  • 高等学校の指定学科を卒業し、10年以上の実務経験
  • 高等学校の指定学科以外を卒業し、11年6か月以上の実務経験
  • 15年以上の実務経験
  • 2級建築士試験合格後、5年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格後、5年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ短期大学、5年制高等専門学校の指定学科以外を卒業し、9年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ高等学校の指定学科を卒業して9年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ高等学校の指定学科以外を卒業して10年6か月以上の実務経験

4-1-2.専任の主任技術者を1年以上含んでいる場合

  • 高等学校の指定学科を卒業し、8年以上の実務経験
  • 高等学校の指定学科以外を卒業し、9年6か月以上の実務経験
  • そのほかの者は13年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定の合格者で合格後、3年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業して、7年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ高等学校の指定学科を卒業して、7年以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつ高等学校の指定学科以外を卒業して、8年6か月以上の実務経験
  • 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満。かつそのほかの者は、12年以上の実務経験

ただし、1級建築士試験に合格された方で、1級建築施工管理技術検定学科試験の受験資格があれば、学科試験を免除して実地試験から受験することが可能です。また、昨年の試験において、学科試験に合格している場合も、学科試験に限り免除されます。

4-2.実地試験の出題項目について

1級建築施⼯管理技⼠の試験では、ここ数年、以下のような出題項目となっています。勉強しておいて損はないので、参考にしてみてくださいね。

4-2-1.(問題1)施工経験記述

受験者が実際に経験した建築工事に関する『工事概要』、および『指定された施工管理項目や課題』に対して記述します。受験者の実務経験の有無と、施工管理能力を判定するための重要な問題です。

4-2-2.(問題2)仮設工事・災害防止

仮設工事と災害防止(安全管理)についての留意事項を記述させる問題が出題されます。

4-2-3.(問題3)躯体(くたい)工事

下記の躯体(くたい)工事における、間違いを訂正させる穴埋め問題と留意事項を記述する問題です。

  • 土工事、山留め工事
  • 鉄筋工事
  • 地業工事
  • コンクリート工事
  • 鉄骨工事
  • 型枠工事
  • そのほか

4-2-4.(問題4)仕上げ工事

下記の仕上げ工事における、間違いを訂正させる穴埋め問題と留意事項を記述する問題です。

  • 防水工事
  • 張り石、タイル工事
  • 屋根工事
  • ガラス、建具、カーテンウォール工事
  • 内装工事
  • 左官工事
  • そのほか

4-2-5.(問題5)施工管理法

平成13年から16年連続で、建設工事のバーチャートを読み取る問題が出題されています。バーチャートとは、縦軸に作業名、横軸に各作業の所要日数を記述することで、各作業の開始時・終了時・所要日数を表したものです。

4-2-6.(問題6)法規

下記の建設業法全般から穴埋め式の問題が出題されます。

  • 建設業の許可
  • 建設工事の請負契約
  • 元請負人の義務
  • 施工技術の確保
  • 建築基準法
  • 労働安全衛生法

4-3.合格率

学科試験の合格率は40~50%程度、実地試験は30~40%程度です。

1級建築施⼯管理技⼠の試験は範囲が広く、受験資格を得るにも長期間の実務経験が必要なんですね。
はい。ですから、まず2級を取得して実務経験をさらに積んで1級に挑戦する人もたくさんいます。

5.建築施工管理技士の実地試験対策について

5-1.学科試験と実地試験の違い

学科試験はマークシートなので、すでに答えが選択肢にあります。そのため、比較的簡単です。しかし、実地試験は記述式なので、回答を自分で記述する必要があります。そのため、本当に問題を理解できていることが重要です。

5-2.記述式試験(実地試験)の目的は?

マークシート方式は機械で正誤を計ることができるので非常に効率的ですが、運で点を取れてしまうというデメリットがあります。そのため、マークシート方式では、受験者の本当の実力を知ることはできないのです。そのため、記述式の実地試験が設けられています。

5-3.合格基準

建築施工管理技士は相対試験です。そのため、決められた合格点はありません。ただし、基本的には6割以上が基準となるでしょう。そして、6割以上の点数を取る上で1番大切なのが、『問題1』です。実地試験で最も配当が高いので、絶対にこの部分だけは落とさないようにしましょう。

5-4.記述式試験合格のための対策方法

5-4-1.過去問を活用する

真っ先に行うべき方法としてあげられるのが、過去問を使った勉強です。実際の問題と回答例が記載されていますので、これを参考にすれば勉強しやすいでしょう。特に、問題1は国語能力も試される問題です。どのように記述すればよいのか分からない方も多いでしょう。そのような方には特に有効ですよ。

5-4-2.評価の高い参考書やテキストを活用する

評価の高い参考書やテキストを利用するのも手ですよ。参考書やテキストは出版社によって使いやすさが変わってきます。ですから、事前に評価の高い参考書やテキストを調べ、利用するとよいでしょう。

5-4-3.講習会を受ける

講習会ではプロ講師による分かりやすい説明を受けることができます。参考書やテキストだけでは記載しきれなかった点など言及してくれるので、より深く理解することが可能です。ただし、講習会に行っただけで受かるような甘い試験ではありません。講習はあくまでも学習の質を高める目的で行うものとして考え、日々の自習にも力を入れる必要があります。

5-4-4.資格通信講座を受ける

ここまでご紹介した勉強方法のよいところだけを取り入れたのが資格通信講座です。分かりやすい専用テキストや過去問、そして講師による解説などが利用できます。

5-5.実地試験での注意点

問題1の『施工経験記述』が無記入だったり、テーマ外のものであったりした場合は、試験自体が失格となります。また、自身の経験を書かなければいけないので、回答例の丸写しなどをした場合も失格となるので注意してください。具体的に説明する国語能力も試される問題なので、苦手な方は必ず事前練習をしておきましょう。

独学から通信教材まで、対策方法はたくさんありますね。
はい。自分にあった方法を見つけて勉強することが大切です。

6.建築施工管理技士にまつわるQ&A

Q.建築施工管理技士の最終合格率はどのくらいですか?
A.2級建築施工管理技士は学科が45~55%、実地が30~35%ですから、最終的な合格率は『14%~19%』となります。これに対して、1級建築施⼯管理技⼠の場合は、学科が40~50%、実地が30~40%ですから、最終的な合格率は『12%~20%』です。つまり、最終合格率が10%台の難関試験ということになりますね。

Q.合格発表はどのようになされますか?
A.建築施工管理技士の合否は、合格発表日に郵送される通知で確認することができます。また、合格発表日の午前9時から、一般財団法人建築業振興基金のHPに合格者の受験番号が公表されるので、こちらから確認することも可能です。

Q.資格の更新はありますか?
A.建築施工管理技士は生涯資格を持ち続けることが可能です。そのため、更新の必要はありません。ただし、管理技術者として働く場合は更新が必要です。監理技術者とは、工事現場の技術水準を確保するために配置される技術者のことをいいます。1級建築士、各種1級施行技士、建築部門の技術士のいずれかの資格を得た後、監理技術者講習を受けることで資格を得ることが可能です。更新するには以下の2点を満たす必要があります。

  • 修了日から5年以内に監理技術者講習を行うこと
  • 有効期限(取得、もしくは最後の更新から5年後)までに監理技術者資格者証を更新すること

Q.試験問題の公表期間はどのくらいですか?
試験日の翌日から1年間、一般財団法人建築業振興基金のHPにて公表されます。見逃さないようにしましょう。

1級建築施工管理技士の実地試験まとめ

今回は建築施工管理技士の実地試験について中心にご紹介しました。建築施工管理技士は、建築工事などの現場で工事の進行や指揮、監督を行うことが可能な国家資格のことです。1級と2級にわかれています。試験は学科試験と実地試験です。学科試験では建築学等・施工管理法・法規の3科目、実地試験では施工管理の1科目の試験を行わなければいけません。合格率は非常に低く、最終的な合格率は12~20%程度を推移しています。そのため、自力での勉強では難しい面もあるでしょう。そのようなときに活用したいのが資格通信講座です。プロ講師の講座を聴くことができますし、分かりやすいテキストを利用することもできます。資格通信講座を利用して、建築施工管理技士試験の合格を目指しましょう。

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